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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

サガリバナ

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早朝4時、シーカヤックで海へ漕ぎ出した。
水平線にかかる雲は、雄大に赤味を帯び、藍色の世界が天頂を支配した。久しぶりのカヤック。この水の上に座っているような感覚が好き。
海側から、一本の川へ入っていく。マングローブ林を横目に20分くらい漕いだだろうか? 憧れていた植物が、突然、木々に絡まるようにしてぶら下がっていた。
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「サガリバナ」。
奄美大島以南にしか生息しない小高木で、高さは10mほどにもなる。
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ヒョロロン、ヒョロロン、アカショウビンの鳴き声が森にこだました。耳を澄ませていると、「ピチョン、ピチョン」と、まるで水琴窟のような音が川面から響いてくる。
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その時、ひとひらのサガリバナが落下した。
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水面と重なる瞬間、「ピチョン」と鳴った。
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夜咲いて、朝に全て散ってしまうというサガリバナ。6時になると、まるで示し合わせたかのように、ピチョン、ピチョンと水面に一斉に散っていく。まるで花と川が奏でる交響曲(シンフォニー)だ。
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花を掬い上げると、ふわふわの雄しべの下に四枚の花弁が。落下するときは重い花弁から落ちるので、ここと水面が当たるって音がするのだろう。それにしても、花から漂う香りは何と形容すれば良いのだろう? 本とかには芳香なにおい、バニラのような甘い香りなどと表現されるが、いまいちしっくり来ない。
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でも、間違いなく何処かで嗅いだことのあるほんのり甘い香りだった。
川幅が狭くなる中、カヌーで上流部を目指す。もっと奥へ。さらに上へ。そこには、壮大なサガリバナの楽園が広がり、僕は言葉を失った。
ノムラテツヤ拝
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テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

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