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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

崇拝の対象者

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インカ文明は、他と違う容姿の人を神の使いとして崇拝した。例えば、指が6本ある人がいると、5本指の人たちがそれらを守るように、周りに集う。
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天野博物館には、そんな思想を証明する一枚の大布がある。
縦1m70cm、横2mほどの布には34の手が、その中心に6本指の手が編まれている。上を向いた手が31、下を向いた手が3。これは
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たぶん、もらう人(欲する人)と与える人(喜捨する人)を表しているという。
いつの世も、与える人が少なく、もらう人が多いのだ。
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「これ、逆だったら素敵だね」
ビックママこと、かおりんがそう言う。
与える人が圧倒的に多い世界って、どんな世界だろうな。想像するだけで、胸がワクワクした。
そして、今回初めて気づいたのは、白い手が2つあること。
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色が退色したというよりも、やはり体色の白い人がいたのだろう。褐色のペルー人(インディヘナ)が自分と違う白い人たちを崇拝し、大切に守っていたのだろう。
土器は、酒を入れることで、ティティカカ湖に浮かぶ葦船に見立てたものや、
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人間の形をしたチーナが手を大きく広げた。
古代の出土品を見るという行為は、その時代背景を見ることは勿論、そこで生きていた人の息づかいや祈りを感じる事なのだと思う。
ペルーへ旅される方は、必ず見て欲しい6本指の織物や土器群。それが首都リマの天野博物館で静かに息づいている。
ノムラテツヤ拝
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キープの力

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今から15年前、27歳の時、僕は天野博物館を体験した。
阪根ひろちゃんのおじい様の天野芳太郎氏が作った宝箱のような博物館には、今から1000年前に興ったチャンカイ文化の土器や織物が所狭しと並んだ。その質と数は世界一を誇り、身分の高い人ではなく低い人までも副葬品が充実してた稀有な文化だった。
カラフルな絞りのパッチワークや、子供用の紺のポンチョ、
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太目の糸で織られた帽子など、
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乾燥した砂漠のペルー墓地からは、当時のままの姿で出土した。
「ラ」や「シャ」などの織り方は、日本で見られる以前からペルーに存在した。
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そして、インカの神髄ともいえるキープが。
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垂らした紐の結び目で数を表し、10進法で当時の人口や税金などあらゆる数を皇帝や神官に報告した。
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インカは文字を持つことがなかった。では劣っていたのか?
いや、そうじゃない。
「インカはアナログというものを越えて、最初から0と1の組み合わせのデジタル文化だった」
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15年前、阪根ひろちゃんからそう聞いて以来、何度見てもこの10進法のキープに魅せられる自分がいる。
数を1と0に分解して、編みこむ。そこには、制作当時の真心も一緒に結ばれているような氣がした。
                ノムラテツヤ拝
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