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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

原始の森

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パタゴニアから帰国し、すぐ新たな旅が始まった。
羽田から釧路へ飛び、レンタカーで阿寒湖へ。ここでどうしても会ってみたい方がいた。
阿寒湖周辺が、阿寒摩周国立公園に認定されたのが、昭和9年こと。でももし阿寒湖一帯が個人所有の土地だったら?そんな興味深い話を秋にかっちゃんから教えてもらった。かっちゃんとは、舩井勝仁さん。あの名高い舩井総研の舩井さんだ。2年前、ひょんなことからご縁を頂き、それからペルーへ2回ほど一緒に旅した仲。今まで出逢った誰とも似ていないタイプに、僕は自然と惹かれていった。
「阿寒湖で面白い方に会ったから、ぜひてっちゃんに紹介したいな。その方たちが、阿寒湖周辺の土地を殆ど持っているんだって」
「えっ、国立公園なのに、私有地?ということは、立ち入り禁止の森などにも入らせてもらえるってことですか?」
「でしょうね」
お忙しいかっちゃんの予定の間を縫って、かっちゃんの友人、柴原薫さんと3人で阿寒湖を目指した。
紹介してもらったのは、前田一歩園財団の代表だ。
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話を聞かせてもらうと、初代前田正名は、明治39年に国有未開地の払い下げを受けて、牧場として拓いたのが始まりだという。総面積3892ヘクタール。阿寒湖を取り囲む森が、前田さんたちの土地だった。
連綿と続く深き原生林と、そこに息づく動植物たち。その殆どが立ち入り禁止にしてあるとのことで、ますます心が躍った。自分がここに来させてもらった理由、そして想いを伝えると、代表が言った。
「うちの森に特別に入ってみますか?」
僕は椅子から飛びあがった。誰も入ったことのない森が、しんしんとした氣と、静謐なエネルギーに包まれていた。エゾマツやトドマツなどの針葉樹に、ミズナラ、シナノキ、カエデ、ハルニレなどの広葉樹が美しく林立する。
「森の管理はどのようになされているのですか?」
「10年に一度、少しだけ間伐しますが、あとはほったらかし。人間が何もしないことが美しき自然を作るのですね」
まさにその姿こそが、森の守り人だった。
「ほら、そこ」
指さされた切り株には、新芽が伸び、小さなエゾ松が伸びていた。
「倒木更新ですね」
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そして代表が大好きな、カツラの大木を見せてくれた。
あまりにデカい。「秋になったらさぞ甘い香りがするんでしょうね」
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「おっ、森に詳しいね」。代表の顔が優しく緩んだ。
人と人が出会うことで光を生み、それらのバトンを周りの愛する人へと繋げていく。代表、かっちゃん、薫ちゃんと話していると、3人とも人生を丁寧に積み重ねた人だけが持つ、懐の広い暖かさがあった。それは、まさにこの光の森のよう。美しく、高貴に、全体でひとつの命を生きているのだ。
                ノムラテツヤ拝
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テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

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