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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

渓谷美

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国立公園内に泊まったので、夜明けから撮影開始。
サウスリムはまだ星空に覆われ、東の空がうっすらと白み始めていた。
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西の空がピンクに染まり、水色とのコントラスト。
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まるで極地のようなクッキリとした色合いに、空気の透明感を知る。
テーブルマウンテンから朝日が顔を出すと、一気にキャニオン(渓谷)に光が落ちてくる。
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16年前と違うところ、それはこの観光客の多さ。中国人、インド人、韓国人の多さといったら。
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ゆっくり、でも確実に、グランドキャニオンが浮かびあがった。
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            ノムラテツヤ拝
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真珠の耳飾りの少女

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新年そうそう、グッドニュースが飛び込んできた。
フジテレビ協賛の新聞広告に、オランダで撮影したフェルメールの最高傑作「真珠の耳飾りの少女」の写真が使われた。
目を瞑ると、あの時の、あの瞬間がいきいきと思い出される。

アントワープから30分ほどでオランダのロッテルダムに到着。
そこからローカル線で更に北上すると、目的の町、「デン・ハーグ」が見えてきた。
駅から歩くこと10分でお洒落なマウリッツハイス美術館へ。入口で14ユーロを支払い、荷物をクロークに入れた。
目的の部屋は3階の15番。入ったすぐ左手に、憧れのあの少女が待っていた。
「真珠の耳飾りの少女」、または「青いターバンの少女」と言った方が分かりやすいだろうか。
僕はオランダで愛して止まない画家が2人いる。フェルメールとレンブラントだ。
特にフェルメールの作品は、この世に35点ほどしか存在しないにも関わらず、この美術館に3点も収蔵されている。
部屋には自分一人だけ。青いターバンの少女へにじり寄り、じっくりと対峙した。
まず、ラピスラズリで作られた高級絵具ウルトラマリンを使って塗られた青いターバン。実物を前にすると、それらをいかにして塗り重ねて蒼という色を深めていったのかが、筆遣いで分かる。そして少女の口元が少し開いているところから、無限に想像がかきたてられる。瞳はぼんやりとして全体を見つめ、角度を変えると、モナリザのようにどの角度からも目が合ってしまう。無垢さは肌の白さから、艶っぽさは口紅の赤から醸し、下唇を明るく光らせ、上唇の輪郭をぼかすことで、更に初々しい質感を出している。
フェルメールの素晴らしさは、光の扱い方にある。写真もまた光と影の組み合わせなので、学ばせてもらうことが多くある。
この絵は正面左奥から光が当てられ、顔全体が浮かび上がらせ、その光の先に将来の希望を表しているように見えた。
もう一枚は、「デルフトの眺望」。フェルメールが生まれ育った町・デルフトの空気感をシンプルな色使いで描き、3点目の「ディアナとニンフたち」も、肌に当たる光の柔らかさに惹かれた。憧れた作品を前にすると、魂が歓喜するのが分かる。血が湧きたち、細胞が泡立つ。
「芸術は鑑賞するものではなく、一体になるもの」。一級の名画から、いつもそんなことを教えてもらう。
           ノムラテツヤ拝
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