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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

新たな視点

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ようやくこの時がやって来た。
カメラを生業にして以来、いつも悔しい想いをしてきた。
フィルムの時代は感度を1600までしか上げられないため、夕方以降の動物撮影は全てブレた。三脚を添えて星などは撮れたが、シャッタースピードは数分間開け続けることが当たり前だった。
技術革新と共にカメラはデジタルへ移行。フィルムからの脱却だ。感度は最大4000まで上げられるようになったが、やはりまだ夕方や夜の動物撮影は難しかった。
20年間使い続けてきたカメラ会社から、ソニーへ機材を一新する。そのお陰でようやく常用感度51200を手に入れ、一日中、いつでも手持ち撮影が出来るようになった。時間という制約からの脱却だ。
プロの写真家にとって、カメラとレンズは、絵具と筆のようなもの。絵具が揃ったは良いが、今度は筆の問題。ソニーが素晴らしいスピードで専用レンズを出し続けてくれたが、それでもここ数年、僕を悩ませる問題があった。それが魚眼レンズと超望遠レンズの欠如。魚眼はこの前書いたインタニア(魚眼250度)と出逢って解決。そして今日、ようやく超望遠レンズの400mmf2.8が手元に届いた。
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レンズを変えること。それは新たな視線を持つことに他ならない。標準ズームしか使っていない人は、写真で表現するにはその画角で何とかしようとする。でもそこに、マクロ、魚眼、防水、超望遠、超広角レンズなどがあれば、同じものを見ているのに、その画角の視点で、新たな創作が生まれやすくなる。レンズの特製や性質を知ることで、目の前の美しき風景を、そのまま切り取ることが出来るのだ。
単焦点の400mm、それもf値(絞り値)が2.8と極めて明るい。この明るさは、目の清濁を表していると考えてもらえば間違いない。f5.6やf8(数が大きくなる)などは暗いレンズなので、眼球の前に白い霧があるような、白内障のような状態。それに対してf1.4,f1.8,f2.f2.8までのレンズは赤ちゃんの、または子供の澄んだ瞳なのだ。だからこそ、僕は美しい瞳で世界を見て、記録し続けたいと想う。
400mmのレンズを持って、自宅から車で30分の江の島へ。
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よく晴れた富士山と船、江の島神社の鳥居、
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太陽の逆光性能、
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船の描写力、
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人肌の質感、
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前ボケ、後ろボケの深み、
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そしてテレコン着用時のAF合焦性能と画質劣化の度合いを確認をした。
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ドキドキする。これがすべての答えだった。レンズを付けて撮影するだけで、今まで僕の持っていない視線がレンズを通して脳に刻まれていく。同じ世界も、まったく違う風景に見えてくる。レンズの方から教えてくれる、視点を提供してくれるなんて興奮せずにはいられない。この名レンズを作ってくれた方々、関わったすべての方々に感謝の念を贈りたい。
さぁ、これで何を撮りに出かけようかな?
まずはヒグマ? それともゴリラ? やっぱり白熊かしら?
             ノムラテツヤ拝
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テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

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