はなまる2019-03-27 Wed 16:36
![]() パタゴニアから帰国そうそう、名古屋の秘密の基地へ連れていってもらった。「華丸吉日」。地下へ降りていくと、清潔感のある純白の暖簾が揺れていた。 ここはKさんがとっても贔屓にしている割烹料理屋さん。イケメンの大将の前に座らせてもらい、付きだしから目を見開いた。鮑に丁寧に越した蟹味噌がかかっている。僕の大好物が「鰻、蟹、納豆」って知っているのかしら? 椀物の上には、桜の花が一輪。 ![]() ワクワクしながら開けると、ハマグリの香りがぽわんと立ち上った。上品な出汁と葛きり。 ![]() 「てっちゃん、ここの大将は顔を見て、反応を見て、出すものを変えるからね」 Kさんの言葉に、ハッとする。お任せコースでも、その人の体調や、好きなものを見抜き、多くの引き出しからベストのものを出すのだ。 カニの身を蟹味噌とカブで巻いた逸品は、瞳孔が完全に開いた。 ![]() そして立て続けに、ボタン海老。 ![]() うぅぅ、ここはお店というよりも「食」のテーマパークだ。 ![]() 古今東西、日本各地の上質なものを、確かな腕で仕上げ、お客さんの体に合うために、ひたすら尽力する。 ![]() 日本酒は、岩手の銘酒「AKABU」。 熟成肉の焼き方、白身の魚を桜の葉で巻き、ひと手間加えたホヤに、完璧な塩梅のしめ鯖。そして、それらを完璧に包み込む上等なワサビに、惚れた。 ![]() 「これ、どうぞ」 「これはもしや?」 ![]() 「食べてみて下さい」 ほんのり焼いた餅の奥から、カラスミの塩気が。脳が痛い。僕は本当に美味しいものを食べた時、言葉を失い、脳が痛くなる。強烈だなぁ、と頭を下げていたら、今度はホタルイカの石焼につくね、 ![]() ![]() 絶妙な焼き加減の白子と怒涛に、僕は白旗を振った。 ![]() 締めは遊び心満載の苺に、ホワイトチョコでラムネのような和菓子を付けて。 周りの方たちには、さっきのカラスミはそのまま焼いただけで出していた。 「大将、どうして僕たちは餅を巻いてくれたんですか?」 「他のお客さんは、会話を楽しまれているので、料理は邪魔しないように。お二人は、食べることに全力なので、僕も全力で勝負します」 名古屋に最高の食のテーマパークがある。 その名は「華丸」。 ノムラテツヤ拝 ![]() ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタン ![]() ![]() |
旅のさいご2019-03-26 Tue 16:46
![]() いくつもの氷河が崩落し、大飛沫が湖面から立ち上がる。 プカプカ浮かぶ氷塊をハンマーでかち割り、勿論ウィスキーのオンザロック。 ![]() 皆で乾杯し、この旅を思い思いに振り返った。 もう100キロ続く蛍の大群生が、はるか過去に思えるほど濃い旅だった。 「俺、今回の旅がてっちゃんツアーの中でナンバーワン。最も心に残る旅だったよ」 ほろ酔いのひろちゃんが、目を細めながら呟いた。今まで20種類以上のツアーを開催し、仲間たちと楽しんできた。参加者の皆様からの圧倒的な人気は、意外にも「メキシコ・グアテマラの旅」だった。それにも参加してくれた直美さんが、「てっちゃん、メキシコ旅と蛍旅は双璧だね。とっても濃密で劇的な旅だったよ」。 船上で見る仲間たちの顔は、誰もが幸せそうだった。僕はこんな瞬間のために、生きているんだろうな。旅の準備も、トラブルの処理も、初めて訪れる場所を案内しなきゃならないプレッシャーも、すべてが幸福という凪いだ海へ溶けていく。 ![]() 「この旅は、あまりに面白かったから、また近々やりそうだね?」と安藤さんがニヤリと笑う。 旅をアテンドするので手一杯で、そんなこと考えたことも無かったけれど、今回学んだことを生かして、更にこの旅を面白く出来る道は見えた。 「中部パタゴニアを、新たな仲間たちと一緒に駆け抜けたいな!」 夢がまた一つ増えた瞬間だった。 ノムラテツヤ拝 ![]() ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタン ![]() ![]() |
スーパーブルー2019-03-26 Tue 09:15
![]() スーパーブルー。 世にも珍しい最高級の氷河と出逢った。 ![]() 山々に雪が積もり、それらが圧縮され氷になる。氷の中の空気が容積の1%以下になったとき、氷は波長の最も短い青色を出し始める。簡単に言うと、これが氷河の青い理由だが、更に含有する空気が圧縮され、ほぼ0%に近くなったときだけ、 スーパーブルーになる。 99%の氷河が後退する昨今、これほどまでに蒼い氷河は、ほぼ奇跡と言って良い。カンナで削ったような切り口から、彫刻刀や、鉈まで変幻自在の神の芸術。光の屈折率で、青白い光が浮かび上がり、氷の年輪「氷輪(ひょうりん)」も時を刻むように、積み重なる。 ![]() 人間が作りうるすべての芸術は、自然の模倣。だからこそ、そのオリジナルは、いつの時代も圧倒的な迫力を持ち続ける。 幼少の頃に、まだ心が柔らかい頃に、こんな自然を観たらどうなるだろう。きっと心の底から地球を愛し、ゴミを捨てるなんて考えもしないんだろうな。 ![]() 地球を汚すこと、それは自分を汚すことなのだと全細胞で体験しているのだから。 ノムラテツヤ拝 ![]() ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタン ![]() ![]() |
時空の旅2019-03-24 Sun 10:17
![]() ピシン、ピシン、シャララ。 ゾディアックで氷河へ近づくと、プカプカと浮かぶ氷塊から音が弾け出る。 数百年前に圧縮された空気が、現在の空気と交じり合う。時を超えたマリアージュ(結婚)だ。 エンジンを切って、少しだけ静かにする。シュワシュワ、まるでシャンパンの泡が海へ流れ出たかのような世界で、時空を漂い始める。 ![]() 僕たちは過去、現在、未来を自由に行き来出来る。想像力という力を駆使して、いつでも氷河が作られ始めた過去へ、美しきバランスが取れた現在を、そしてまた来るであろう氷河期の未来へありありと心を飛ばすことが出来る。 ![]() 目の前の風景を見るとは、きっとそういうこと。今の中に、過去も未来もすべてが内包していることを「観る」ことなのだと思う。 ノムラテツヤ拝 ![]() ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタン ![]() ![]() |
サンラファエル氷河2019-03-22 Fri 18:16
![]() 旅の最終地は、僕がパタゴニアで最も愛する氷河だ。 一般的にパタゴニアと言えばアルゼンチン側のペリトモレノ氷河が有名だが、それをも凌ぐ氷河がチリ側にあるのだ。 プエルト・アイセンの港から高速艇に乗って南下する。 ![]() 周囲には深い南極ブナの森が広がり、細い海峡を越えると、眼前にサンラファエル氷河がドカンと現れた。 氷河から崩落した氷山がプカプカと浮かぶが、その蒼色の透明感と言ったらどうだろう? 僕は死ぬまでに必ず見て欲しいものは、以下の3つだと言い続けてきた。オーロラ、間近で見るクジラ、そしてこの蒼き氷河だと。蒼は、たぶん生命の源の色なのだと思う。 ![]() だから一目見ると、胸が痛くなるほど心を鷲掴みされ、自身の存在が吸い込まれるような錯覚を覚えるのだ。 船の錨が下ろされる。さぁ、ゾディアック(エンジン付き小型ボート)で蒼の世界へ入っていこう! ノムラテツヤ拝 ![]() ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタン ![]() ![]() |