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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

世界最高のホタル場

蛍風景3

2日目の夜は、ホタルにとって最高の状態だった。
ムッとした湿気があり、風は皆無。ドローンで上から眺めると、パンパ地帯には見渡す限りの大豆畑が。世界には2000種類のホタルが生息しているが、見たことのない白っぽいホタルが大平原を埋めるのだ。光り方はビカビカッと連射する日本のヒメボタルに似ているが、大きさはヘイケボタルほどある。
故郷が岐阜なため、昔からホタルにはよく遊んでもらった。葱坊主にしたり、ありったけの蛍を掴まえて車に入れ、翌日はホタルの墓になっていたことも。思い出せばキリが無いほど、ホタルとは縁が深い。
一匹、また一匹と光り始める。この発光物質はルシフェリンと呼ばれ、ルシフェラーゼという酵素とATP(アデノシン三リン酸)が働くことで発光する。飛びながら光るのは主に雄で、葉の上にいる雌はその光り方で愛する夫を決める。つまりホタルの飛翔は、フェロモンの乱舞でもあるのだ。
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ラピスラズリ色の星空に南十字星やオリオン座が輝く、そこに流星のように流れるホタルの軌跡。昨夜の3倍以上出現しているだろうか?まさに数百万のホタルが地上の星のように煌めいた。
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命の炎は、地平線まで埋め尽くし、ビカビカと連射する。そう、今から思えば、ホタルたちは知っていたのだろう。翌日から大雨になることを。最新の研究によれば、成虫になったホタルの寿命は、オスで平均3.3日、メスで平均5.7日ほど。だからこそ、今夜燃え尽きなければと、ありったけの力で命を表現したのだ。
連綿と続くその力強さに、僕はパンパ地帯で圧倒された。世界最高のホタル場、100キロ続く蛍の道が、ここアルゼンチンにある。
             ノムラテツヤ拝
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テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

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