手の洞窟2019-03-11 Mon 08:21
![]() パタゴニアに住んでいた時から気になっていた場所に、ようやく足を踏み入れる。 クエバ・デ・ロス・マノス、「手の洞窟」だ。 最も古いもので9000年前、新しいものは2500年前と年代の幅が広いことは、カーボン14の年代測定法で分かっている。では、なぜこの地に人は惹きつけられ続けたのか? それを知りたかった。 手の洞窟は世界遺産になっているため、レンジャー同行で見る。 ![]() 岩山の麓を歩いていくとそれは突然現れた。洞窟・・・ではなく、壁。それも壁画に陽の光が当たっていることに驚いた。 ![]() 陽光で劣化しても、これから色が残っているって・・・。 「アルゼンチンの子供たちが、また塗り直したんじゃないの?」と冗談を言うと、レンジャーは高らかに笑った。 ![]() 95%が左手で5%が右手。それも謎だった。 ![]() 豊穣の印の女性器や、 ![]() シンプルな動物の絵の上にも手が重ねられていた。 ![]() 「こんな壁画が何か所あるのですか?」 「この岩山を取り巻くように89ケ所あります」 「それらを全部見ましたか?」 「まだ半分くらいです」 鉱物から作る顔料も聞いた。鉄で赤を、焼いた鉄から黒を、石膏で白、銅で緑などが惜しむことなく使われていた。 もっと壁画を直に感じたい。 「どこでも良いのですが、手の壁画を触れるところはありますか?」 もう一人の男性のレンジャーが、ここなら大丈夫と連れていってくれる。こんなアルゼンチンの緩さ、好きだなぁ~。 立ち入り禁止の柵も無いところに、ポツンと一つだけ手の壁画が描かれていた。手の脂で酸化させないように、赤い周りに触れてみる。すると、岩から一陣の風が吹き下ろしてきた。それはこの地の語り部が物語を聞かせてくれる始まりの合図。僕は心を落ち着かせ、ゆっくりと耳を澄ませた。 ノムラテツヤ拝 ![]() ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタン ![]() ![]() |
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