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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

手の洞窟

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パタゴニアに住んでいた時から気になっていた場所に、ようやく足を踏み入れる。
クエバ・デ・ロス・マノス、「手の洞窟」だ。
最も古いもので9000年前、新しいものは2500年前と年代の幅が広いことは、カーボン14の年代測定法で分かっている。では、なぜこの地に人は惹きつけられ続けたのか? それを知りたかった。
手の洞窟は世界遺産になっているため、レンジャー同行で見る。
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岩山の麓を歩いていくとそれは突然現れた。洞窟・・・ではなく、壁。それも壁画に陽の光が当たっていることに驚いた。
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陽光で劣化しても、これから色が残っているって・・・。
「アルゼンチンの子供たちが、また塗り直したんじゃないの?」と冗談を言うと、レンジャーは高らかに笑った。
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95%が左手で5%が右手。それも謎だった。
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豊穣の印の女性器や、
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シンプルな動物の絵の上にも手が重ねられていた。
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「こんな壁画が何か所あるのですか?」
「この岩山を取り巻くように89ケ所あります」
「それらを全部見ましたか?」
「まだ半分くらいです」
鉱物から作る顔料も聞いた。鉄で赤を、焼いた鉄から黒を、石膏で白、銅で緑などが惜しむことなく使われていた。
もっと壁画を直に感じたい。
「どこでも良いのですが、手の壁画を触れるところはありますか?」
もう一人の男性のレンジャーが、ここなら大丈夫と連れていってくれる。こんなアルゼンチンの緩さ、好きだなぁ~。
立ち入り禁止の柵も無いところに、ポツンと一つだけ手の壁画が描かれていた。手の脂で酸化させないように、赤い周りに触れてみる。すると、岩から一陣の風が吹き下ろしてきた。それはこの地の語り部が物語を聞かせてくれる始まりの合図。僕は心を落ち着かせ、ゆっくりと耳を澄ませた。
              ノムラテツヤ拝
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テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

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