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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

山口へ

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中米から帰国したその足で、岩見へ飛んだ。
40代になってから、決めていることがある。
「今まで理由をつけて諦めていた場所、そこには全部行く!」と。
山口県もその一つだった。萩・津和野。ひと昔前は熱海、阿蘇と共に国内ハネムーンのメッカだった地。どこから向かっても、時間がかかるため、今まで敬遠していた。
紺碧の空に八ヶ岳や北アルプスが絵巻物ように浮かび、眼下には諏訪湖の姿。東海地方を抜けて、京都へさしかかると、日本三景のひとつ天橋立が絶景を見せてくれた。
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最終着陸態勢に入ると、透明感のある海が近づいてくる。
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町を貫く高津川、そこにかかる何本もの橋、美しき益田の街並みが広がった。
             ノムラテツヤ拝
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日本 | コメント:0 | トラックバック:0 |

ラストケツァール

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「テツヤ、お前、何かやってるのか?」
「何かって、ヤクとか?」
「違う、違う(笑)。2日連続こんな近くでケツァールに逢えるなんて、数年に一度あるかないかの珍しい事なんだ」。ガイドのオスカルが呆れたように言った。
そう、今日も早朝からケツァールを探しに森へ入ったが、最初の2時間はまったく見つけられなかった。でも遠くでさえずる声がしたので、追いかけてみると、樹上に雄と雌のケツァールの番が。雄には長い尾があり、メスには無い。色も雄の方が派手なのは、鳥共通だった。
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風が吹くと、尾がひらり、ひらりと持ち上がり、波のような曲線を描く。
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その優美なこと。後方に踏ん張った瞬間、閃光のように飛び立った。
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その姿を狙うが、やはりフレームに入れるのが難しい。
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「そんなに私の飛翔する姿を撮りたいの?」とつぶらな瞳は、僕を見下ろし、またスッと消えるように飛び立つ。
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そんな風にして、2時間は遊んでもらっただろうか?
そろそろ帰る時間が迫っていた。
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「オスカル、有難うね。コスタリカ、とても気に入ったからまた来るね」
「待ってるぞ。テツヤが来ると、ケツァールも不思議なほど近くに来てくれるからな。で、どんな魔法を使ったんだ?」
「何もしてないよ。ただケツァールに、愛してるよーってありったけの想いをぶつけただけ」
神の鳥に頭を下げて、僕は車でコスタリカのサンホセ空港へ向かった。
中米のポテンシャルは、予想した以上に高かった。まだ訪れていない国々を巡る旅は、まるで20年前の南米を旅しているような懐かしさがあった。
これで渡航した国は131ケ国、残りの62ケ国をひとつ一つ、コツコツと積み重ねます。
               ノムラテツヤ拝
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中米 | コメント:1 | トラックバック:0 |

惚れる人

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どうして人は人を好きになるのだろう?
他人のことは分からないから、それを知る手がかりは自分の中にしかない。
今まで僕が大好きになった人たちを思い浮かべてみる。
面白い人、優しい人、自分と似た人、まったく似てない人。男女問わず、様々な人が走馬灯のように僕の脳裏に流れていく。植村直巳、星野道夫、阪根博・・・・・。同姓で好きになる人は、僕にとっては憧れの存在なのだと思う。憧れを更に掘り下げていくと、自分のやりたいことを迫力を持って突き進んでいる人、僕のまったく無いものを持ち合わせている人、物事を観る視野が広い人。それを集約すると「地球を全力で遊びきっている人、自身の人生を精一杯使いきっている人」に僕は惚れる。
横浜の自宅で、セコセコと雑務をこなしている時、大好きな友人ツッチーからのメールに釘付けになった。
「てっちゃん、今からカジキマグロ釣って来るヨ!」
海なし県の岐阜に育った僕には、海の中の生き物は未知の世界。その王様ともいえるカジキマグロ(マーリン)を。
「お前は松方弘樹か!」と一人で画面を見ながら突っ込んでいた。
「うぉっしゃー、釣れたデ」
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次々送られてくる写真に僕は見入り、仕事が手につかなくなってしまった。
「どうして僕は自宅に、どうして彼はこんな面白そうな場所に?」
それらが頭の中でグルグルとまわり、体がソワソワしてしまうのだ。
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「いいなぁ、いいなぁ~」と伝えていたら、
「てっちゃん、送ったげよか?」とライン。
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「えっ、マジ? でも数日後からまた海外だから」
「その前日までに着くように何とかする」
2分後、「てっちゃん、送ったよ!」と連絡がきた。
「きゃぁ~嬉しい。でもどうやって食べるのが一番美味しいの?」
「カジキはサバ科だから、ほんとはカジキサバが正解かな。高く売るための作戦なの。さばいたらお腹からカツオが2匹出てきた。食べ方は照り焼きステーキ、またはから揚げもうまいデ」
世界は、地球は、なんて上手く創られているのだろう?
僕たちの魂に与えられるものは、一つの体。寿命は長くて100年。それで地球上の全てを遊び尽くすことは出来ない。だからこそ、地球を遊び切る仲間たちの存在が必要だ。彼らが僕の代わりに海で遊んでくれ、その体験を共有してくれる。獲物をご馳走してくれる。そうやって、みんなでひとつとなり、この生命の惑星「地球」に遊んでもらっているのだ。
「今度、伊豆でカジキマグロの大会があるから、てっちゃんゲストで参加しなよ。俺の友達紹介するから」
「行く行く~」
ピンポーン。おっ、来た来た。カジキマグロが沖縄からやって来た。荷をとくと、部屋中に海の香りが。まずはラピスラズリ色のカジキの皮を剥いで、血合いを処理しながら丁寧に捌く。
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皮は固く弾力があり、その下に隠れる骨のような筋もピンと張っている。大海原を少し前まで悠々と泳いでいたんだもんなぁ。
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ツッチー、有難う。海の宝に感謝して大切に頂きますね。
まずは生で食べてみる。ほんとだ、マグロよりもサバっぽいわ。さぁ、お昼は照り焼きステーキにしてみようかな。
             ノムラテツヤ拝
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日本 | コメント:0 | トラックバック:0 |

かけもち出演

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人生を振り返った時、「あの時が分岐点だった」と思う時期がある。でもそんな時間が、誰にも1度や2度生まれるのは何故だろう? 僕の周りに、人生を心から謳歌している人たちがいる。そんな人生の先輩に質問をぶつけると、面白いことに、同じような答えが返ってきた。
「人生の中でココという時期に命を賭けて頑張ったから、その時作った大きな波に乗って後は流れて来ただけだよ」と。
では、「人生のココ」という部分は一体どこ? それを今回もY=Xという右肩上がりの直線で考えてみようかな。X軸が時間、Y軸が経験と仮定すると、さしずめY=Xは気力と体力のバランスが取れているとき。人生は生まれてから死ぬまで、行ったり来たりしながら波形で進んでいくから、Xの時間とYの経験が等しくなった時にだけ、人生がY=Xの直線上に乗る。その時こそが「人生のココ」。頑張っても大変、頑張らなくても大変、という稀な時間を過ごすことになる。
魅力ある諸先輩方は、ここで死ぬほど頑張った方々。「だって、どのみち大変なら、頑張った方が気持ち良いだろ」とサラリと語った。
今朝、嬉しいニュースが飛び込んできた。可愛がっている俳優の林遣都が、次のNHK朝ドラ「スカーレット」に出演するだけでなく、今の大河「いだてん」にも出ることが決まった。ロス五輪400m自由形銅メダルの大横田勉の役柄だ。
遣都におめでとうと連絡すると、弾けるような答えが返ってきた。今、まさにY=X上にいる遣都、ここが人生の分岐点。体調だけには気を付けて、命を精一杯燃焼させろ! それが未来の財産となり、必ずオンリーワンの魅力に繋がっていくから。
          ノムラテツヤ拝
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リスの後ろ姿

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部屋の大きなガラス窓から、小さな影が走った。
外へ出てみるが、何もいない。視線を上げると、樹の上に尻尾の大きなリスが。
しばらく観察していると、口いっぱいに葉っぱをくわえて、大地へ降りてきた。きっと、巣作りに励んでいるのかな? ピョンピョンピョンとリズミカルに跳ねるように駆けて行く。
その後ろ姿があまりに可愛すぎて。高速シャッターで飛んだ瞬間を狙った。
             ノムラテツヤ拝
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