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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

校了

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終わったぁ~。
一文字一文字、時間をかけて考え抜き、ようやく行き着いた形。
校了。
人生の中で最も楽しいことの一つ、それが創作だ。それも子供たちへの写真絵本となれば、なおさら力が入る。2020年4月1日のエイプリルフールに、通算14冊目の本が出版される。
たくさんのふしぎ5月号、『ポリネシア大陸(福音館書店)』だ。
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舞台はポリネシアントライアングル内の、タヒチ、イースター島、ニュージーランド、ハワイ。ページをめくるごとに場面が次々と変わり、最後は地球全体へ。物語は物証を元にダイナミックに展開し、いくつものどんでん返しを用意した。
「地球が舞台の絵本を作りたい」
20代の頃に思い描いた夢が、ようやくこの本となって生まれていく。
最終の手直しをして、今、校了。
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あとは編集部で修正され、印刷所で刷られ、製本されていく。もうこれで終わってしまうという寂しさと、ようやく終わったというホッとした気持ちが入り交じり、湧き上がる充実感に身をゆだねる。
自分の作りたいものを作らせてもらえる幸せを想う。制作に携わってくれた全ての方々に心から感謝します。どうも有難う、お陰様で10歳の自分が読みたくなる本が、完成しました。
             ノムラテツヤ拝
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最後の洞窟

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ペリリュー島の戦いは、要約するとこうだ。
最強のアメリカ海軍と、日本の水戸歩兵第二師団とのガチバトル。圧倒的不利な戦力差を、地の利を生かした玉砕戦法で埋めていく。
当初3日で終わると予想された戦いは、73日の大激戦となるが、遂に終焉の時を迎える。終わりを悟った中川大佐は、機密文書を燃やし、明治天皇から賜った軍旗を焼き、軍司令部に「サクラ サクラ」と打電。命を散らせた。
でも、実際に訪れてみると、本当の話とその続きが見えてくる。
中川大佐が自決した司令部の洞窟は、大山と呼ばれた丘を回り込んだところにある。「鎮魂 終焉の地」と彫られた石碑に、雨風に濡れたに日本国旗が置かれていた。
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でも、それは観光用に作られたフェイク。実際は、森の更に奥、地雷だらけのデスバレーを越えた先にある。断崖絶壁にいくつも掘られた洞窟、その一つこそが終焉の地となった。
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大佐は、子供のように可愛がっていた烏丸中尉に「首をおとしてくれ」と頼むが、中尉は「父を切れない」と膝をつく。1944年11月24日、銃で自身のこめかみを打ちぬいた。アメリカ軍が洞窟内で銃殺した大佐を見つけ、長い戦いに終止符が打たれた。アメリカ軍は敬意を表して、立派な墓を建立。終戦後、「墓に埋まる遺骨を引き取りに来て欲しい」と大佐の奥方にお願いすると、
「先に亡くなった1万人以上の方々を、まず帰してあげて下さい。主人は最後で」
日本遺族会による遺骨収集は、まだパラオで続いている。
ペリリュー島のジャングルは日々絶え間なく成長し、戦跡を呑み込んでいく。中川大佐の墓も、今は森の木々に埋もれ、何処にあるのか誰も知らない。
         ノムラテツヤ拝
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