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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

伝説の水上都市

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もし過去に遡れるなら、行ってみたい都がある。
現在のメキシコシティ以前に栄えた、アステカの首都「チノチティトラン」だ。ナワトル語で「石のように硬いサボテン」を意味する水上都市は、最盛期には人口30万人を抱える大都市だったと伝えられている。
今まで世界各国の様々な港湾都市を見てきたが、ここまで美しい都が過去にあったことに驚かされる。湖にかかった十字の橋。その中心部に神殿が置かれ、整然と区画化された都の島。1978年、メキシコシティの中心に建つ大聖堂脇から大神殿の跡地が発掘され、その存在が明らかにされた。
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テンプロ・マヨール(大寺院)と呼ばれ、半地下からは、ケツァールコアトルや雨神チャックなどアステカの神々の像が姿を見せる。精緻な彫刻に権力の象徴である赤色が塗られ、ここが伝説のチノチティトランだったことを教えてくれる。
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アステカを襲ったスペイン人は、この神殿の岩を砕き、その上に大聖堂を作った。そして周りの湖は、すべて土砂で埋め立てたのだ。
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もし過去に遡れるなら、行ってみたい都がある。チノチティトランが栄華を極めた時代を、僕は歩いてみたい。
                  ノムラテツヤ拝
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CWニコルさん

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巨星が、また一人この世を去った。敬愛していたCWニコルさんが、直腸がんのため亡くなった。
僕たちと同世代や少し下の世代では、CMの象徴だったになったソーセージの叔父さんやサンタクロースみたいな人との認識だろうが、ウェールズ生まれのニコルさんは若かりし頃から北極探検で名を馳せ、自然に関わる仕事にずっと携わってきた。世界中を旅する中、1962年に初来日。日本の自然に魅せられると同時に、危機感を募らせる。経済を優先するあまり、知らぬ内に自然の破壊が進んでいたのだ。ニコルさんは私財をつぎ込み、長野県黒姫に広大な里山を購入。「アファンの森」と名付け、自然の森が自然であるままである美しさを守った。
「先見の明」とはこういうこと。自然が自然のままである美。これは一度失ってしまうと、なかなか人間との共存が難しくなる。そこが見える人と見えない人の差。それは世界中の美を見つめてきた審美眼と、未来を見渡す深い洞察力だろう。
ニコルさんは作家としても、目を瞠る活躍を遂げる。名作「風を見た少年」はもちろん、僕が最も感動したのは、「勇魚(いさな)」だった。
勇ましい魚=クジラにまつわる物語。和歌山県太地の捕鯨に命をかける男たち。時代は幕末、臨場感のある構成と、圧倒的な語彙で紡がれる迫力に圧倒される。そしてこの一大スペクタルを日本人でなく、異国のニコルさんが書いたということに、打ちのめされた。
30代前半、講演を一緒にさせてもらう機会があり、直接話を聞かせてもらったことがある。黒姫への愛、日本への愛、そして故郷ウェールズへの愛、とどのつまり地球への限りない愛を注ぎ続けている人だった。79歳での早すぎる死は、地球にとっての大損失。でも、きっとニコルさんはこんな花道を通って、天国へ向かって冒険を始めたのだろう。安らかな旅立ちになりますよう、心からお祈り申し上げます。
                ノムラテツヤ拝
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