あのぉ2021-04-23 Fri 18:37
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桜のささやき2021-04-23 Fri 17:18
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絶景世界212021-04-23 Fri 06:48
![]() 僕の父が働いていたのは岐阜ユースホステル。二階へ上がる階段のすぐ脇に、一枚の美しい写真が飾られていた。天を突くような急峻な岩峰に、緑の草原。そこにポツンと建つちいさな教会。 「これってどこ? 日本?」 「これはイタリアのドロミテっていうところだよ」 「ドロミテ・・・・・」 聴いたことのない不思議な響きが、僕の心へ沈殿していった。 大学生になり、自分の稼いだお金で海外へ行けるようになった時、候補地に挙がったのがドロミテ。でも、僕は兄の影響でアラスカのマッキンレー(今はデナリ山)を目指してしまった。 行けそうで、なかなか訪れなかった場所。そこへ41歳でようやく向かえることになった。 さっきまでの霧はより濃くなり、峠から先の細道は、純白の峡谷へと続いた。今日の宿はAirbnbで予約した民家。住むように旅をするには絶好の場所だ。荷物を運び入れる頃には、雨が降り始め、そのままスコールのような土砂降りに。撮影は無理だな。台所で焼きそばを作り始め、たっぷりのサラダと共に頂く夕食時、窓から西側の空を眺めると、雨雲が地平線あたりでスッパリと切れ落ちていた。 手元の時計を見ると18時40分。 まさかな・・・、10分、20分、30分、時間が経つにつれ、どんどんその雲の切れ間は東側のこちらへと移動してくる。40分後、雲の切れ間から光が漏れ始めた。雨の中、僕は慌ててカメラを手に、外の車に飛び込んだ。何処に行けば見晴らしが良いのか分からないけれど、ワイパーを強にしながら、細い坂道を上がっていく。そして夕日が西の空に姿を見せた瞬間、雨のカーテンに大きなダブルレインボーが架かった。みるみる光は強くなり、七色の雨の弓矢がクッキリと確認できる。 草地の脇に車を止め、小高い丘を駆け登った。何時消えてしまうか分からない。焦る気持ちとは裏腹に、足元は雨露で滑りやすい。あと少し、あと少し、てっぺんへまで登り切ると、眼前の絶景に息を呑んだ。 ダブルレインボーの端から端までが、しっかりと確認できるのだ。そして上空の雲が薄くなるにつれて、憧れていたガイズラー山群がまるでシルエットを脱き捨てるように姿を現した。天を突く針峰群。その前に緑の草原、そしてポツンと教会が。それらを全て包み込むように、二重の虹がまあるく輝いた。 ノムラテツヤ拝 ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタン ![]() ![]() |
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