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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

三分の一荷重

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うぅ、泣きそう。
ようやくこれでスタート地点へ立たせてもらえる。
骨折してから2カ月半、主治医から遂に1/3荷重の許しが出た。僕は身長180センチ、体重69キロなので、左足に1/3の23キロまで荷重をかけて良いことになる。
やり方は極めて原始的で、体重計に足を置いて、これが10キロ荷重、20キロ荷重と体に覚えさせること。左足を着くときに両方の松葉杖をつくと僕の場合、大体10キロ~12キロ荷重。これはもしかして・・・と、室内をその感触のまま松葉杖と共に歩いてみる。うん、痛みもないし、悪くない。玄関へ行き、2か月半ぶりに左足を靴の中へ入れた。何だか生まれて初めて靴を履いたかのように違和感だらけ。
「この暗闇は何処ですか?」と左足からの声が聞こえてきそうだ。松葉杖を両方につき、左足を着地させたときのこの沸き上がる感動。
うぅ、泣きそうです。
そのまま1/3以下の荷重をコントロールしながら近くの駅まで一歩一歩かみしめて歩いた。そうそう、左足が付けるってこんな感じだった。たったの1/3荷重でも松葉杖をついて両足で歩けるのは、体の楽さにおいても、気持ちにおいても、天と地ほど違った。
「おっ、ようやく発進ですか?」
左足の脛骨さん、決して無理はさせないけれど、負荷は少しずつかけさせて下さいね。こみ上げるものがあってちょっと涙ぐんだからかな? 左足を踏み出すごとに、大地から金色の螺旋が巻き上がってくる。今度は右足、やっぱり螺旋が巻きあがる。その光を見て、僕は号泣した。
僕ら生きとし生けるものすべては、天から、大地から、こんな風に生命の氣をもらっているのだ。氣は天から降ってくるわけでも、大地から噴き出してくるわけではなく、自分が行動することでそれに最適の氣が巻き付いてくる。20代から学んできた氣という世界、でも僕は何も学んでなかったことを知った。世界はテクニックではなく、どう動き、どう生きるのか。それに見合った氣が絶え間なく、僕らに与えられているのだ。
1/3荷重は、まだまだ完治までの入り口に過ぎない。でも、1/2荷重、2/3荷重、全荷重がOKになる道のりを、全力で丁寧に進んでいきたい。体への感謝、魂への感謝、そしてこの地球への感謝を胸に抱いて。
            ノムラテツヤ拝
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湯河原の滝

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大好きな町、小田原でチラシ丼を頂き、今日の目的地の湯河原へ。
昔、熱海に1年ちょっと住んでいたことがあるので、この海沿いの道が懐かしい。
カーブを曲がるごとに風景が変わり、その風景が思い出を刺激する。
これまた愛する湯河原のお酒屋さんに顔を出してから、近くの滝をゆっくりと散歩する。
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真上から太陽が差し込み、飛沫を虹色に染めた。
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気持ち良いなぁ。僕はやっぱり、こんな世界が好きだ。
             ノムラテツヤ拝
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絶景世界48

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モロッコを訪れた理由、それは、一枚の写真だった。
数年前、南米を旅していた時、世界一周している夫婦と出逢った。彼らから今までの訪問地の写真を見せて貰うと、釘付けに。
「これ、どこですか?」
「モロッコです、モロッコの砂漠です」
写真は、盛り上がった大地に、砂の家が何個も連なっている風景、「アイトベンハッドウ」。デビット・リーン監督が、ここで「アラビアのロレンス」を撮って以来、砂漠の聖地となった世界遺産だ。
モロッコ南部の町ワルザザートを出て、西へ30分ほど走ると、ビューポイントへ到着。城塞(カスバ)として使用され、モロッコで最も保存状態が良いアイトベンハッドゥは、昔の面影を今も残す“砂の都”だ。城門をくぐると、丘全体に家がへばりつくように積み重なり、渦巻きや波型の模様が刻まれている。
夕陽が傾くにつれ、燃えるような薔薇色に砂の都は染まってゆく。一陣の風が吹き、土壁が崩れ落ちる。それを見て、ハッとした。城壁は長い歳月をかけて削られ、またそれと同じくらいの時をかけて人々によって修復される。時間が秒針を刻んでいくように、同じ瞬間は二つとして無いのだ。
やがてここは、他の遺跡同様、廃れて土に戻るときが来るかもしれない。作りあげて、風化し、消え去る。文化で言えば、後世に残る石の文化よりも、自然へ還る木の文化。けれど、すべてが消え去ろうとも、この土地の記憶や場の持つエネルギーは、永遠に変わることは無いのだろう。
もう、日の落ちる時間だ。
影は長く北東へ伸び、椰子の葉の擦れる音が風に乗って、耳元へ届けられる。今は数家族しか住んでいないが、昔はどれほど活気に満ち溢れていたことか。
全ての人が、物が、生物が、見えない糸で繋がるように、過去にここで夕陽を眺めた人と僕は、何処かで繋がっている。それは時空をも軽々飛び越え、両手を差し伸べてくれる。ただ、僕はそれに任せれば良いだけ。自然に全身を委ねるだけで、必要なものはすべて、体へ流れ込んでくる。
           ノムラテツヤ拝
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