fc2ブログ

写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

少女のこころ

DSC02223.jpg

中学生2年生の女の子から、こそばゆくなるようなメールをもらった。
「野村さん、昨日アジサイの写真を見てビックリしました。私は写真家を目指しているのですが、あんな撮り方があったとは目から鱗でした。そして『人生は視線の多様性で決まっていくような氣がします』の言葉にしびれました。荷物持ちでも身の回りの御世話でも何でもします。弟子にしてください」
身の回りの御世話って・・・、少女の純真な心が文字に乗って、僕の方が赤面してしまった。そして昨日のアジサイ、そこまでの視線では無かったような・・・。
僕の写真の師は、星野道夫さんですが、星野さんは生涯弟子を一人も取ることはありませんでした。僕も弟子を取るなんておこがましいので、取りません。ただ、教えて欲しいという方々には、何も隠さず全部教えます。でも、どうやったら少女の気持ちに少しでも応えることが出来るかな?
家で考えていても、何も浮かばないので、とりあえずカメラを片手に近所を歩いた。少女の文体から伝わるイメージを想像していると、ぴったりなピンク色のアジサイを発見。まずは昨日の視線で、アジサイの裏から笠になるようにして一枚目。でもね、視線としては悪くないけれど、アジサイをさらにダイナミックにするためには太陽の光も入れましょうか。
花の間から太陽を通して、命を真っすぐ表現する二枚目。
DSC02274_202106011653301fe.jpg

次は絞りとシャッタースピードを変えて、風に揺れる動きを出す三枚目。
DSC02259_20210601165329a22.jpg

大分近づいてきた。最後は命の本質が立ち上がるように、太陽を螺旋状にして四枚目。こんな風に僕らの視線は、どんどん命の奥へと没入していきます。少しはお役に立てたかな?
でも、絶対に忘れないで欲しいことがひとつ。写真は楽しみながら撮って下さい。対象物を好きになってからカメラを構えて下さいね。
写真に良い、悪いも、上手い、下手もありません。あるのは、感じるか、感じないか、ただそれだけのような氣がします。
               ノムラテツヤ拝
DSC02256_20210601165328c87.jpg
ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタン人気ブログランキングへのクリックをお願い致します!以下のライオンボタンの上でクリックしてみて下さい。吠えます!
人気ブログランキングへ

テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

日本 | コメント:0 | トラックバック:0 |

チバニアン

IMG_3684.jpg

千葉に来た一番の目的、それは憧れの地層をこの目で見るためだった。
「チバニアン」、地質年代区分に新たに加わったこの偉大なる地層は、世界に誇るもの。
さっそく出かけてみると、小さなビジターセンターなるものがある。中へ入ると、スタッフの女性がチバニアンの歴史などを説明してくれた。
地球の歴史は文句なしに面白い、でも説明しようとすると魅力が半減してしまうのは何故だろう?
それはきっと、説明ではなく、おのおのが感じる世界なのだと思う。
ある程度の情報を教えてもらったら、あとは地球と対峙して耳を澄ませること。静かな気持ちで向き合うこと。
そうすれば、必ず地球の方から、何かを囁いてくれるはず。
チバニアンの魅力を簡単に書けば、地磁気(N極とS極)が逆転するという証拠を地層から読み取れること。
逆転???
IMG_3685.jpg

勉強不足のため、僕は知らなかった。過去は北極がN極で南極がS極、それらが幾度も逆転を繰り返し、現在は北極がS極、南極がN極の正磁極期になっている。つまり未来のどこかで、極点が日本に移動したら毎夜オーロラを楽しむことも出来るのだ。
その極点の移動地図を見せてもらったが、極点はまるで生き物のように動き、逆転するときには中東やメキシコ、フィリピンにあった時期もある。
IMG_3688.jpg

それらを数値ではなく、今、その歴史を目の前で見ることが出来る場所、それが養老川流域田淵の地磁気逆転地層なのだ。
「昨夜の雨で、川が増水してるので、足元気を付けて下さいね」
松葉杖の僕を見て、そう送り出してくれた。
         ノムラテツヤ拝
IMG_3750.jpg
ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタン人気ブログランキングへのクリックをお願い致します!以下のライオンボタンの上でクリックしてみて下さい。吠えます!
人気ブログランキングへ

テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

日本 | コメント:0 | トラックバック:0 |

絶景世界60

060.jpg

世界最大のキングペンギン営巣地、それがサウスジョージア諸島だ。南極圏の周り、亜南極圏に属するため、夏には雪が解け、浜に緑の森が現れる。
キングペンギンのメスは産卵のため40日間絶食し、卵を産むと同時にオスに抱卵を任せる。その期間は50日、メスがようやく戻ると、残りの50日はバトンタッチをして、ようやく赤ちゃんペンギンの誕生だ。
ここに集まる数十万羽のペンギンたちの我慢強さに胸を打たれ、彼らを生かしていける豊穣の海に、心を揺さぶられる。誰に教わるわけでなく、連綿と繋いできた命の営みに、風景がじんわりと滲んだ。
              ノムラテツヤ拝
ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタン人気ブログランキングへのクリックをお願い致します!以下のライオンボタンの上でクリックしてみて下さい。吠えます!
人気ブログランキングへ

テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

絶景世界 | コメント:0 | トラックバック:0 |
| ホーム |