ジャングル滝2021-07-05 Mon 16:53
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いりおもて2021-07-05 Mon 13:52
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絶景世界942021-07-05 Mon 09:06
![]() 「僕の古い友人で、屋久島出身で写真家がいるのですが、彼曰く、縄文杉の裏山に、もう一つ縄文杉くらいの樹齢を誇る木が眠っている・・」と。 屋久島通だというレンタカー会社の社長は、頷きながら、「あるよ」と一言。 「それを全面的に公開しないのは、やっぱり踏まれることで根が痛んでしまうのと、第二の縄文杉として知られるのが嫌だからですか?」 「オマエさんは山を良く登るのかね?」 「すこしは」 「ちょっと待ってな、電話かけてみるから。いると良いんだけどなあ」 「あぁ、もしもし、今ここに来ている客が、例の話を知ってるんだよ。写真家Y氏の紹介で」 10分後、やってきたのはヒゲモジャの仙人のような男。名を仮にKさんとしよう。 「で、オマエさんはその杉を見たいのか?」 「出来ることならば」 「なら、連れてってやる。ただ守ってもらうことがある。沢登りとかしなくてはならないから、もし一度でも諦めたら引き返すこと。時間にして丸一日はかかるから」 完全にKさんの勢いに押され、僕は少しばかり後悔し始めていた。話を聞くと、沢登りだけではなく、ロッククライミング、ケイビングのような事までしなければならないという。 早朝4時、Kさんと共に、縄文杉まで走った。 「縄文杉は通常の人で往復9時間。オマエさんの早さに関係なく、ワシは5時間で行く。じゃないと間に合わない」 ロボットのように話すKさんが前を行く。ヘッドランプの明かりを頼りに、漆黒のトンネルを抜け、トロッコ道を歩くこと1時間半、ようやく登山口までやってきた。よっし、と一気に駆け上がる。目標である2時間半で、何とか縄文杉へ。 「結構早いなぁ、オマエ。良いぞ、このぶんなら間に合うかもしれない」 それからの道はきつかった。道は獣道となり、どんどん藪漕ぎして道を作りながら進む。あまりに奥へ入ってゆくので、心配になってくる。一応、怖いので、ビニールテープのマークは付けてきているが、濃霧に包まれたら一発でおしまいだ。 沢登りではベッチョベチョになり、ロッククライミングではグッチョグチョ。もう体はボロボロだ。縄文杉から登ること5時間。Kさんが、突然立ち止まった。 「良くやった。これがその場所だ」 目の前には、縄文杉よりもでかいであろう、巨大杉が凛と立っていた。 何だろう、この静かなる深遠な迫力は。 「Kさん、この杉って名前が無いんですよね」 コクッと首を傾ける。 「僕が名前付けても良いですか、悠久杉と」 「ほ~ん、じゃぁ、オレとオマエの中だけで悠久杉な」 島の宿へ帰ったのは、夜の21時過ぎ。合計17時間半の登山だった。 ノムラテツヤ拝 ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタン ![]() ![]() |
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