誰よりも早く2021-07-15 Thu 17:00
![]() 誰よりも早く、どこよりも先に。 これがサガリバナツアーを成功に導くための鉄則だ。 総勢17名はまだ夜空に夏の大三角が輝くなか、現場へ到着した。 前夜から17人分のカヌーを浜に並べ、準備は万端。パドルのレクチャー、カヤックの注意点を知らせて、後はとにかく凪いだ海に入ってやってみる。キャッキャ言いながら、前へ、後ろへ、左右へとカヤックを滑らせる。大体感じを掴んだところで、いざ川を遡上する。煌々と輝く月が川面に映り、目を凝らすと星々も水面に揺れた。 ![]() パドルを上げてもらい、皆でその星々の映る様を共有する。きっとこんな場面が、後から振り返った時に、思い出として深く刻まれるのだ。 ヒョロロロロ、漆黒の森からアカショウビンの声が響き、ポチョン、ポチョンとパドルが水面へ入る音が重なり合う。 ![]() 夜のマングローブ林は、皆の冒険心を掻き立て、この先にある天界へ想いを馳せる。世が白み始める頃、僕らは目的地に着いた。バニラとクチナシを足したような香りが充満し、気持ちが高ぶってきた。 ノムラテツヤ拝 ![]() ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタン ![]() ![]() |
圧倒的な星空2021-07-15 Thu 14:09
![]() サガリバナ隊が始まった。今回集ってくれたのは総勢17名。 コロナ禍にも関わらず、沖縄の非常事態宣言にも関わらず、よくぞ集まってくれた。 まず、最初にお連れしたのは、一年に一度だけ開けてもらえる秘密の森へ。 ここは西表島の長老の私有地なため、なかなか夜の許可をもらうことは難しい。 今回は宿の社長も含め、交渉を重ねて、ようやく開かずの扉が開いた。 見て欲しかったのは、サガリバナは勿論だけれど、この圧倒的な星空。西表島は日本国内で最も空が暗く星が美しいとされる場所。 ![]() 地平線に寝そべる巨大な北斗七星やポラリス、心臓の赤いサソリ座などが天空に輝く。 「てっちゃん、わたしコロナ禍で忘れていたわ、星ってこんなに美しくて、沢山あるものなのね」 1人の女性は、この星空を見上げて泣いていた。 ![]() そう、僕らはこんな圧倒的な光景を見上げ、自分を見つめる時間を作るべきなのだ。 最初は騒いでいた仲間たちも、一人、二人と静かになり、星空を通して自分を見つめている。 巨大なシダの森に入れば、星々はさらに宝石のように煌めく。その光を映して、仲間たちも輝いた。 ノムラテツヤ拝 ![]() ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタン ![]() ![]() |
絶景世界1042021-07-15 Thu 07:42
![]() 深夜3時。 バチッと目が覚めた。 「来なさい」。 そんな声が闇の中から響いてきた。 僕は慌てて飛び起き、カメラザックを背負って外へ出た。 気温は10℃を切っていて、風が吹くと肌寒いほど。 いつものポイントへ行くと、マッターホルンは闇の中で浮かんでいた。 「来なさい」。 もう一度、頭の中で確かに声が鳴り響いた。 撮影地へ着くと、今までで一番晴れ渡っていた。 マニュアルで焦点を合わせ、長時間露光で撮影すると、マッターホルンの奥に無数の星々が流れ、登山家たちのヘッドランプが光の道を作った。 周りには誰もいない。 目の前のマッターホルンだけ。気高く、孤高で、色に例えれば濃紫、ディープパープルのエネルギー。その氣を浴びた。 初光がマッターホルンを照らし始める。 赤い。深紅の光がゆっくりと輝きながら落下していく。 30分後、全てが輝きに包まれ、朝日のショーが終わろうとしていた。 でも、僕は蛇につままれたカエルのように、何故かそこから立ち去ることが出来なかった。 南側から一条の黒い雲が現れた。一本、また一本とまるで意思を持ったかのように、流れてくる。 そして遂にはマッターホルンを影絵のように浮かび上がらせる。 シャッターを押しながら、僕の意識は飛び始めていた。 ものの1秒くらいだったろうか? 縦雲と横雲が重なり格子を作り上げた。まるで御簾の間からこちらを見透かしているよう。 気付いたら、その格子は崩れ、真っ黒い雲が全てを覆い尽くしていった。 光と闇、そのバランスこそが写真の神髄。 静と動、そのバランスこそが自然の神髄。 僕はマッターホルンとなり、マッターホルンが僕となった瞬間だった。 ようやくシンクロ出来た嬉しさに、僕はありったけの大声をあげた。 ノムラテツヤ拝 ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタン ![]() ![]() |
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