モノとの対話2021-07-22 Thu 19:03
![]() 岐阜→パタゴニア(チリ南部)→富士三合目→熱海→南アフリカ→藤沢→ポリネシア→イースター島→横浜泉区→横浜港北区。 僕は根無し草のように、移動を続け、死ぬまで住処を変えようと思うが、引っ越しするたびに、必ずモノとの対峙が起こる。 「これは、本当にいるのだろうか? 代用できないだろうか?」 本やファイル、服や家具はどんどん捨てられ、住空間がシンプルに削がれていく。でも、どれだけ断捨離しようと、なぜか身の回りに置き続けるモノもある。それがモルフォの額縁だ。一昨年、天界へ旅立たれたこうちゃんに、ブラジルで買ってもらったもの。アマゾンに生息する幸福を呼ぶモルフォ蝶。青く見えるのは鱗粉ではなく、構造上の光の屈折率から。それらが寄り集まり、額装されたいのちの集合体だった。 現地の店で出逢った瞬間一目ぼれ、その蒼き光をボーっと見つめ、値段を見て、さらにボーっとなった。 「てっちゃん、好きなものを選びなよ。僕も欲しいから、一緒に買うから」 自然に、優雅に、こうちゃんは僕にプレゼントしてくれた。この碧き光を見ていると、あのブラジルの奥深い森が現れ、その奥にこうちゃんの笑顔が見える。そう、僕が捨てられないもの、それは大好きな人の想いが込められたモノ。 ノムラテツヤ拝 ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタン ![]() ![]() |
日本の美しさ2021-07-22 Thu 11:10
|
絶景世界1112021-07-22 Thu 07:42
![]() 「スキャングウェイ」 ここに足を踏み入れることを、どれだけ夢見たことだろう。 ハイダグアイの最奥地であり、ハイダ族最大の聖地には、祈りのポールが立っている。「トーテム・ポール」。ワタリガラス、クマ、オオカミなど自分の家系を表すこの彫刻は、代々受け継がれ、森の中で心の象徴となってきた。しかし、1950年代から世界中の博物館が、このトーテムポールの収集に乗り出し、殆どの地元民は、意味も分からず手放してしまった。 今も、森の中にひっそりと、トーテムポールが立っている場所、そんな童話の中のような奇跡の場所は無いのか。その答えが、ここスキャングウェイだった。 ハイダ族の元にも、博物館の収集家たちが訪れたが、その時のやり取りが痛快だった。 「ここは雨のとても多い地ですから、我々が保存しないとこのポールは朽ちてしまう。だから博物館に持っていかせて下さい」 「朽ちて良いのです。ポールが朽ちることで、ここが更に聖地になるのですから」と、長老は頑なに首を縦に振らなかったという。 年間降水雨量が屋久島よりも多い雨の島「ハイダグアイ」。だからこそ僕はどうしても撮りたいカットがあった。星野さんの写真集を見ても、他の写真集を見ても、陽光と重ねられた写真が一枚もないのだ。見上げると、空は薄い雲で覆われ、強風が吹いていた。 熊の下に人間が刻まれるトーテムは、熊に育てられた子供の神話から。 全ての彫刻は意味を持ち、祈りが込められているのだ。それらが朽ち果てる途上で、鳥によって落とされた種子が頭部で芽吹き、小さな茂みを作る。トーテムもまた自然によって生かされ、自然に還っていく。 雲間から、薄い光が差し込んできた。僕はこれから起こる奇跡を、まだ知る由もなかった。 ノムラテツヤ拝 ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタン ![]() ![]() |
| ホーム |
|