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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

あの場所へ

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礼文に着いた途端、行くべき場所が分かった。レブンアツモリソウの花園だ。港から30分ほど車を飛ばし、あの浜辺へ。あの美しき花園は一気に枯れていた。
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生成りのアツモリソウは、茶色く変色し、シワシワになっている個体も、
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「そっか、これを僕に見せたかったんだ」
そう、花園の最も美しい瞬間、それは枯れる時、そして土中に種が埋没するときだ。
世界中の砂漠の花園で、何度も何度も花たちから教えてもらってきたことを、礼文島でも丁寧に日々教えてもらった。
美しいと醜い、これはきっと人間だけの価値観なのかもしれない。他の動植物たちは、すべて地球と時間も命もリンクしているため、そこに美醜は存在しない。あるのはただ、種を次の世代に繋げることが出来たのか?自分の命を全うしたのかに尽きるような氣がする。
「僕もそちら側の生き方を続けます」
一陣の風が吹き抜け、レブンアツモリソウの花園が全体で声をかけてくれた。僕はそのまま膝を付き、涙をこらえ、手を合わせた。
            ノムラテツヤ拝
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礼文の声

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野に咲くカンゾウの花を見ていたら、心にもやもやしたものが沸きあがってきた。
もしやと水平線に視線を移すと、紺碧の空に礼文島が浮かんでいた。
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「こっちへ来い」
天から言葉が雨のように降ってくる。僕はただ、その声に従い、車を利尻島の鷺泊港へ向けた。
お昼の便に飛び乗り、船中で礼文島のレンタカー屋さんに連絡。車を1台押さえてもらった。
どうして礼文島に呼ばれるのかな? きっとそこに立てば何かを感じるだろう。
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それにしてもどうだろう、この利尻岳の美しさは。僕は海の向こうに聳える洋上富士を、ただ見つめていた。
            ノムラテツヤ拝
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新世界写真253

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ぽたん、ぴしゃん、ちりん、天井から滴が落下し、水琴窟のような音を奏でる。漆黒の闇で、そんな音を聞きながら進んでいくと、突然遠くに光の世界が現れる。
中心に立つ、太い幹。僕と同じ樹齢44年のアボガドの樹だ。
火山が噴火し、溶岩流が海へ流れた道が、冷えると溶岩洞窟になる。海風に浸食された天井は、やがて剥落し、洞窟内に一条の光が差し込むと、そこに鳥が落としたのだろうか? 一粒の種子が陽光を目指して、少しずつ成長し、やがて天井を越えて、大空へ枝葉を広げていく。
そんな奇跡の樹の物語に耳を澄ませ、僕たち人間もまた同じだと気づかされる。闇から生まれ、光へ向かい、あらん限りの命を燃やして、朽ちていく。
ふと足元を見ると、アボガドから落ちた種子が、新たな芽を出している。昨日よりも今日、今日よりも明日、少しずつ命の幹を伸ばしていけ!
  ノムラテツヤ拝
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