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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

こうちゃん宅

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盛岡にスーパーマンがいた。
僕らの全ての海外旅に参加してくれ、その後は毎年こうちゃんの行きたい場所を皆で巡った。
ギアナ高地、ガラパゴス諸島、ペルー北部、ナミビア、南アフリカ、アイスランドなどなど。
「次はバスクだね、てっちゃん」
超人のこうちゃんは、そう言って、この世を去った。
今回の東北に来た目的、それは盛岡の仲間に逢うこと。こうちゃん宅では、奥様の紀子さんが待っていてくれた。
久しぶりに逢うことで昔話に花が咲く。そしてこうちゃんが死ぬ間際に、どれだけ身辺整理をしていったかを教えてもらった。
「こうちゃん、どこまで格好良いのでしょうね」
「ほんとよねぇ」
庭に出て、田中角栄ごっこをする。見事な鯉が泳ぐ庭で、エサを一気に蒔くのだ。その中に以前「テツヤ」と名付けた鯉も発見。黄金色の体躯を輝かせ、若さを前面に出していた。うん、うん、元気そう。
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「初代てつやは死んじゃったものね」
そう、盛岡の厳冬期、雪下ろしの雪を池に入れていたら、突然すべての鯉が凍死した。初代テツヤもその中に含まれていた・・・。
「こうたろうさんの杯をもらって欲しくて」
紀子さんが桐箱を3つ、手渡してくれた。中を開けると、早々たる作家ものの杯が輝いていた。
「こうたろうさんも、てっちゃんに使ってもらえれば喜ぶと思うの」
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どうも有難うございます。毎日、これから使わせてもらいますね。
テツヤ、テツヤ、帰り際、テツヤに手を振ると、顔を出してジャンプした。
            ノムラテツヤ拝
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初優勝

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球場全体から割れんばかりの大拍手。コロナ禍が始まって以来、これほど祝福に満ちた拍手、希望に満ちた拍手があっただろうか?
仙台育英(宮城)対下関国際(山口)。夏の高校野球決勝戦は、想いと想いがぶつかり合った。
下関国際がいつも通り攻める。でも、圧倒的データで研究し尽くされた守備位置が、それらをひとつひとつ潰していく。そして甲子園からレギュラーを掴んだ14番の岩崎がラッキーボーイとなり、満塁ホームラン。1-8とリードされても最後まで勝負を捨てない下関国際、最期の最後まで驚異的に粘り、雄たけびとガッツポーズを作る。どちらも死力を尽くすその姿に、スタンドの声援が大きくなり、選手たちに力を与えていく。いかん、いかん、涙で画面が滲んで見えない。
でも、少しずつ歴史的瞬間が近づいていく。春夏通じての初優勝。深紅の大優勝旗が、白河の関を越えて東北へと渡った瞬間だった。
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僕の母は仙台出身。その第二の故郷の栄誉に、胸が熱くなる。話を聞けば、3年前に就任した39歳の須江監督が、5人の投手陣を育て、豊かな戦術で、この快挙をやり遂げたのだ。
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仙台育英の選手たちを調べると、宮城、秋田、山形、岩手、青森、福島のオール東北チーム。1-8、点差はついたけれど、素晴らしい試合でした。有難うございます。そしておめでとうございます、東北のみんな、やったどー! 泣けるわー!
                ノムラテツヤ拝
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風光舎

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雫石に行きつけのカフェ「風光舎」がある。
森の中にひっそりと佇み、玄関のドアを開けると、優しい空間が待っている。
地元民たちが、地元民たちだけで、ひっそりと楽しむカフェ。ストレートのカフェも良いが、ここはやはりオーナー自信作のブレンド「大地」で。
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良質な焙煎が醸し出す透明な苦みと、うっすら後に香る酸味のバランスに、心がほっこりとする。
「数日前、この庭に子熊が現れまして」
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奥様からの話も、スケール感があって楽しい。地元の日常の中に紛れさせてもらえる瞬間、僕はとっても幸せを感じます。
               ノムラテツヤ拝
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新世界写真308

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南アフリカに住んでいた頃、大切な友人と森のワイナリーにいた。
仮にZさんとしておこうかな。
Zさんは南アで仕事のために滞在していた。日本でも3本の指に入るダイヤモンド鑑定士。本場のアントワープが主戦場だった。
一緒にワインを傾けていると、なぜか音楽の話に。Zさんのお気に入りは、やはりウィーン。それも、とある演奏場。
「ノムラさん、そこだけは音が天井から降ってくるんです」
「嘘でしょ?」
「本当です。コンピューターでどれだけ精巧に作っても、未だに作れないんですが、あそこだけは何故かそれが完璧に組み合わさっているんです。まさに神の宿る会場です」
あれ以来の夢だった。そして僕は今、ウィーンにいる。
その場はムジークフェライン(楽友協会)。
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のメイン会場であり、お正月に世界各国に中継されるニューイヤーコンサートが行なわれる聖地。Zさんは楽友協会の上級会員なので、幻のプラチナチケットを手に入れ、3度ほど生でニューイヤーを聞いたことがあるという。
豪奢な建物の中へ入ると、まず目に飛び込んでくるのが金色。柱、パイプオルガンの枠、天井など夥しい量の金。キノコ型のシャンデリアが10本下がっていた。天井には2つのフレスコ画、そして銀の巨大なパイプオルガン、壁面には麒麟のいような翼の生えたドラゴンが鎮座した。2階席を支えるのが、水瓶を持った女性像。
もうすぐ演奏会が始まる。
今回はシーズン中だというのに、Zさんお勧めの完璧な席が取れた。1階席18列目のど真ん中。ドキドキ、ワクワクだ。
20時15分、会場にブザーが鳴り響くと、オーケストラの団員が続々と登場。音の調律が終わると、恰幅の良い指揮者がタクトを振った。
最初の音から、地面が揺れる。
前方で演奏しているのに、何故かそんなに音が迫らず、不思議なことに背後からも聞こえてくる。柔らかい音で、ゆっくりと抱かれるみたい。音の渦の中心に引き込まれていく。
目を瞑ってみる。
大きな音、高音は天井から降ってくる。まるで音符が雨粒のようになって、サーサーと浸み込んでくる。小さな音や低音は壁面を伝い背後から。重奏なのに、まるで一人だけが演奏しているように音が収束していく。
上から、左右から、下から。四方八方から音符の玉が届いてくる。
真っ直ぐ届くのではなく、まるで放物線を描くように。
音の高さと、響いてくる高さは比例するのだと思う。
低音は低く長い放物線、高音は高く短い放物線。それらが収束してまあるく響き渡る。全身の細胞が震え、マッサージされるようだ。
やがて視覚と聴覚が麻痺し始め、無重力状態に。こんな感覚は生まれて初めての体験だ。
頭から足先まで全てに鳥肌が立つ。そして体内が泡立った。
指揮者に視線を戻すと、音の波が、波長が見えてくる。
ドナウ川の横に立つムジークフェラインで、「美しき青きドナウ」を聴ける幸せ。指揮者が腕をグルグル回すと、団員も最高潮に。一気に音が昇り、マエストロが指揮棒を止めると、天から残響が落下する。そして包まれる。
ラストは「ラデツキー行進曲」。
ニューイヤーコンサートのように、観客も拍手で応え、会場が一体に。
音楽って、こういうものなんだ。
音を楽しむ、それを初めて知った夜だった。
ノムラテツヤ拝
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