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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

能登到着

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能登半島を境に雲がスッパリ切れていた。
見よ、この美しき雲の絨毯を。その向こうに見える白山連峰を。
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穴水の美しい海岸線を眼下に見つめ、山側の田んぼは稲が黄金色に色づいていた。
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能登空港は馬鹿っ晴れ。日本全国から、もうすぐ皆が集まってくる。
              ノムラテツヤ拝
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911

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僕が27歳の時、あなたは52歳でした。あれから20年、長いようで、あっという間でした。
僕の人生の師匠は最強冒険家の植村直己さんと写真家の星野道夫さん。共に後厄の43歳でこの世を卒業されました。
別れる時の辛さを考えると、もう師匠なんていらない。そんな風に思っていたときに、出逢わせてもらった3人目の師匠。
43歳で別れたくない僕は、こわごわとあなたに年齢を聞きましたね。
「52歳だ、悪いか、ばかやろう」の言葉に、ホッとしたのを昨日のことのように覚えています。
ペルーで出逢ったあなたは、僕の欲しかった能力を、沢山持っていました。
誰よりも広く深く話せる術、圧倒的な面白さ、人を楽しませる紳士さ、無敵のコネクション、そして奢るときのスマートさ。あの頃のあなたは、僕にとってまさに理想の大王様でした。あれから20年、どんどん角が取れ、今はまさに無双状態ですね。
「てっちゃん、昔おごったお金、ちゃんと奢り返してね」と言われ、その分を日本国内、海外各国で奢らせてもらうと、
「若い時に奢ってもらったことって、プライスレスだから。だから俺が死ぬまで奢ってね」と。
まったくもって、凄い大人だなと思う。でも、それを言われても何故か憎めないのが、あなたの徳であり、魅力なのでしょうね。
9月11日は、あなたの74回目の誕生日。おめでとうございます。もうすぐご帰国ですね。皆で心よりお待ちしております。
あなたが生まれてきてくれて良かった。僕の人生が大きく彩られました。
               ノムラテツヤ拝
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新世界写真328

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父が働いていた岐阜ユースホステル。
二階へ上がる階段のすぐ脇に、一枚の写真が飾られていた。天を突くような急峻な岩峰に緑の草原。そこにポツンと建つ教会。
「おとう、これってどこ? 日本?」
「これはイタリアのドロミテっていうところだよ」
「ドロミテ」、聴いたことのない不思議な響きが、僕の心へ沈殿した。
大学生になり、自分の稼いだお金で海外へ行けるようになった時、候補地に挙がったのがドロミテ。でも、僕は兄の影響でアラスカのマッキンレー(今はデナリ山)を目指してしまった。
行けそうで、なかなか訪れなかった場所。そこへ41歳でようやく向かえる。
さっきまでの霧はより濃くなり、峠から先の細道は、純白の峡谷へ続いていた。
今日の宿はAirbnbで予約した民家。住むように旅をするには絶好の場所だ。荷物を運び入れる頃には、雨が降り始め、そのままスコールのような土砂降り。今日の撮影は無理だな・・・・・。
台所で焼きそばを作り始め、イタリアの至宝・フェラーリのスパークリングを抜いた。たっぷりのサラダと共に頂く夕食時、窓から西側の空を眺めると、雨雲が地平線あたりでスッパリと切れ落ちている。
手元の時計を見ると18時40分。
まさか・・・
10分、20分、30分、時間が経つにつれ、どんどんその雲の切れ間は東側のこちらへと移動してくる。
40分後、雲の切れ間から光が漏れ始めると、僕は慌ててカメラを手に雨の中、外の車へ飛び込んだ。
何処に行けば見晴らしが良いのか分からないけれど、ワイパーを強にしながら、細い坂道を上がっていく。そして西の空に夕日が姿を見せた瞬間、目の前の雨のカーテンに大きなダブルレインボーが架かった。七色の雨の弓矢の光がどんどん強くなってくる。草地の脇に車を止め、小高い丘を駆け登った。
何時消えてしまうか分からない。焦る気持ちとは裏腹に、足元は雨露で滑りやすい。あと少し、あと少し、てっぺんへまで登り切ると、眼前の絶景に息を呑んだ。
ダブルレインボーの端から端までが、しっかりと確認できるのだ。
そして上空の雲が薄くなるにつれて、憧れていたガイズラー山群がまるでシルエットを脱ぎ捨てるようにその雄姿を見せてくれた。
天を突く針峰群。その前に緑の草原、そしてポツンと教会が。それらを全てくるむように、二重の虹がまあるく輝いた。
見た瞬間に、落涙する。雨なのか涙なのか分からぬまま、滲んだファインダーを覗いては、無我夢中でシャッターをきった。
何枚撮っただろう。ファインダーに映し出される写真は、僕の感情の起伏が激しく落ち着かないためか、肝心の命が宿らない。
こんな時は急がず、まず目を瞑って力を緩める。そして目の前の自然に感謝すると共に全託する。やがて体が自然に引っ張られ始めたら、後は従うだけ。下り坂の一角へ導かれると、そこはまさに教会と虹の根元が重なる場所。レンズに付く雨をふき取り、マニュアルで焦点を合わせ、祈るような気持ちでシャッターを押し込んだ。
液晶に浮かび上がった写真を見て、思わず叫ぶ。
「うぉぉぉぉぉぉぉ~」
脳天から足元に稲妻のような光が走り抜け、感動が四方八方へ爆発する。意識が薄れるにつれ山の波調と重なり始め、僕とガイズラー山群との境が突然ふっと消えた。次の瞬間、僕は山になり、山は僕になる。まるでゆりかごのような純白の真綿に、ふうわり抱かれているような快感が押し寄せた。
ガイズラー山群が雲を飛ばし、遂にその黄金に染まる全貌を現した。憧れ続けた風景からの歓迎なのか、この田舎の民家に泊まってなければ、決して撮ることが出来ない一瞬だった。
時間にしてたったの数分だろうか? 
雲が山を追い越すと、虹は静かに消えた。まるで今まで何もなかったかのように。大自然が魅せる静と動のコントラスト。この差があるほど、僕は見惚れて、感動してしまう。
空には、吸盤で吸ったようなポコポコとした鱗状の雲が流れていく。西日が低くなってきた。これからどんな夕焼けになっていくのかな?
激しい雨でびっしょりと濡れたが、胸に手を当てると、熱いものが伝わってきた。
ノムラテツヤ拝
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