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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

マリアージュ

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ブロッコリーのムースから料理が始まった。
薄味だが、後味にしっかりブロッコリーの風味が抜ける。シャンパンと合わせると、それらがまあるくマリアージュする。
「ウマいか? 好きだろ?」
ひろちゃんの言葉に頷くしかない。僕の好きな味は、薄味で素材の味が最大限引き出されたもの。二品目は蕎麦の実にブイヤベースを浸みさせ、天然なめこを乗せたもの。
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それに合わせるのが、なんとドイツ産の白ワインだった。
「こちらの料理は、ソービニオンブランかリースリングのどちらかをお選び下さい」
「えっ、対極にあるような白ワインですが、どちらも合うのですか?」
「はい、ブイヤベースにはソービニオンブラン、キノコにはリースリングが合います」
驚きながら2つを試してみると、確かに言われるとおり。ブイヤベースとソービニオンブランが重なり、この料理全体をリースリングで包んでいく。味の感想を伝えると、女性ソムリエの言葉にのけぞった。
「ワインはスポットで当てるか、全体で当てるかを考えます」
それは、ワインだけでなく、人生にも深く言えることだった。細かいポイントを見るのか、俯瞰して全体を見るのか?
栗のスープや
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バターナッツ(カボチャ)も、
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ワインと共に頂くことで完成した。それにしても、鯛のヒジキソースはのけぞったなぁ。
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それに合わせたのが、城戸ワイン。塩尻で作られる、抽選でしか買えない幻のワインだという。
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飲むと、3つのブドウを絶妙に掛け合わせた豊潤な味。値段を聞いて、これもこの前の北海道の山崎ワイナリーと共に、世界の中間層で戦える味だなと感服した。ラストは大山地鶏と赤ワインで。
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ワインのグラスをひとつとっても、しっかりと意図が見え、自然と笑いが溢れてしまった。デザートはアールグレイのムースと貴腐ワインで。
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「てっちゃん、遠慮せずにね」
「はい、では最後に、極上の白ワインで」と、僕の好みをソムリエに伝え、三種類を持ってきてもらう。触ればどれが自分の体に一番合っているかはすぐに分かるので、シャレーンに決めた。
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世界三大ピノノワールのタンタラを継承するカリフォルニアワイン。その味は、パインや桃などの果実味が強く、トロトロでとろけるようだった。良く笑い、楽しく学び、食とワインに感動する時間。そう、まるで阪根大学のようだった。
「学長、今日は一年に一度の記念日、ゴチになります!」
「よっしゃ、任せとけ。一年に一度だけだよ。ほんとに」
ノムラテツヤ拝
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出雲のたび

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神在月の出雲ツアー前半、後半が無事に終わった。総勢80名で、神々が集う地で遊び、ディープな場で手を合わせた。
本日、参加してくれた若者から素敵な感想を頂いた。

この度はディープツアーのアテンドをありがとうございました。
無事に帰宅しましたので、ご報告のメールを送ります。
大人になってから、仕事以外での集団行動に最初はドキドキしながらも、温かい皆様に助けられ、とても楽しい二日間でした。
神在月に出雲に行ける。どんな経験になるのだろう、と思っていたのですが、自分の体感などよりも何よりも、一番感動したのがS神社奥宮に参拝した際、大木にもたれながら説明している野村さんの姿を見た時のこと。その姿があまりにも自然で、人間と自然の垣根がないようで、私は何故か涙が溢れそうになりました。こんな人間が、この世に存在しているんだなぁ、と。
感性と具現化を両立させなくてはいけない仕事作業に疲れ、自分を見失っているタイミングでの出雲旅。そして野村さんの姿。もっと力を抜いて、自然の流れに任せ、思いっきり楽しく没頭して行こうと感じました。
素晴らしい経験をさせていただき、本当にありがとうございました。またお会いできる日を楽しみにしております。

あはは、おかしいなぁ。結構気合いを入れて説明したつもりなんですが。脱力系に感じられたようで(笑)。
でも、人生も、写真撮影も、そこが僕の理想なので、嬉しかったです。自然と溶け合う、それはつまり地球と遊ぶことですから。
            ノムラテツヤ拝
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新世界写真382

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写真家・星野道夫が亡くなったのは1996年8月8日。
今からもう26年も前になる。最後の遺作となったのが、家庭画報(世界文化社)で連載していたものを纏めた「森と氷河と鯨」だ。物語は原住民のアサバスカン族やハイダ族の先住民が心にずっと抱いてきた「ワタリガラスの神話」。そこを幹として、枝葉が紡がれる見事な一冊となるはずだった。しかし、想い半ばで師はこの世を旅立ち、残された僕らは未完のままの本を、虚無感に襲われながら何度も読み返した。
編集者からの話によれば、星野さんはこの本を紡ぐにあたって、最後の写真を決めていた。それはハイダグアイ(その頃はクイーンシャーロット島)で撮った豊穣な海。干潮になったときに現れるナマコやヒトデが、まばゆい命の光を放ったカットだった。
絶景温泉に浸かっていると、遥か彼方に見える山並みに胸がざわめいた。あの何度も繰り返し見た、豊饒な海の写真。その背景と妙に似ているのだ。慌てて服を着替え、一目散で海べりへ下りた。長靴を履いたまま、静かに水面を揺らしていくと、そこには赤や橙色のヒトデ、そして小さな蟹たちが歩き回っている。腰をかがめてファインダーを覗くと、それは星野さんが最後に撮影した写真と重なった。シャッターをきった瞬間、星野さんの存在を目の前に。
「よくここまで来たな!」
あの優しい笑顔に、僕は一瞬で包まれた。生きる者と死する者、有機物と無機物の差は、一体どこにあるのだろう? 境そのものなんて実は無いのかもしれない。すべては見えないだけで、皆が繋がっている。命も、そして想いも・・・。
          ノムラテツヤ拝
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伝説の店

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今日は一年で一日の、おごってもらう記念日。
「てっちゃんにどうしても紹介したい店があってさ」
珍しく真剣にこう伝えてきたのは、今春のこと。なら今度帰国される秋に連れて行って下さいよ。
「よし、その時はおごっちゃる」
そう、一年に一度だけの、まるで七夕のような記念日。その舞台は長野県の松本市だった。駅で待っていると、あずさから出てきたひろちゃんが手を挙げる。おぉぉ、スーツで、それもネクタイまで。そこまでドレスコードが必要な店なのか? とビビった。
ひろちゃんにその店を紹介して下さったTさんも合流し、いざタクシーで出陣。一方通行の細道を幾度かクネクネと曲がった先に、フランス国旗がたなびいていた。タクシーを降りると、「マダム、サローン」と、ひろちゃんがフランス人っぽく手の平をあげる。どうやら、ここが入り口らしい。予想していたのは、レトロなパティオがあるようなお店、スペイン風のバルだと思っていた。でも、入口は大理石で出来、ドアを開けると、シャンデリアのかかる回廊が、足元にはオーナーの生まれ年からのボトルが並べてあった。
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「どうだ、てつや」
「うぐぐ、かっこえーです」
「そうだろ、そうだろ」
店内は照明が落とされ、シャンデリアが連なり、ピカピカに磨かれたワイングラスがズラリ。料理とワインをペアリングさせる店とは聞いていたけれど、ここまでゴージャスとは。。。
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まずは、辛口のシャンパン(Brut)から。カンパーイ。クリスタルグラスの、上級な金属音が店内へ響き渡った。
              ノムラテツヤ拝
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