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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

最後の晩餐

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イタリアのミラノへ来た理由、それはドゥオモと須田敦子さんを感じるため。そしてもうひとつ、大切なミッションが、ダビンチの「最後の晩餐」だった。復元された絵が、一体どれほど迫ってくるものなのか体感したいと思った。
サンタ・マリア・デッラ・グラツィエ教会内の壁画「最後の晩餐」は、完全予約制で1クールが15分、最大人数が30名と厳格に決められている。何とか予約を入れ、当日出かけてみる。入口でバーコードを見せ、中へ入っていく。
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はやる気持ちを押さえながら、一歩、一歩。そして遂に御対面。ぼんやりとライトアップされた巨大な壁画が。そう、あの教科書にも載っていた見慣れた壁画、ダビンチコードの鍵となった聖なる絵が眼前に現れた。
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首を少し上へ向け、12使徒の動きを追う。キリストとマリアの間のV字や、ユダの位置関係、そこにダビンチの思惑が隠されていると言われているが、いかんせんデカイ。30名の観光客は最前線で食い入るように見ているが、僕は一番後ろに下がって、その絵を視点をずらして見つめた。
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「僕がもしダビンチだったら、、、」、これは芸術作品の前で、いつもイメージすることだ。僕がもし作者だったら、遠くから見ても分かるよう、、絵を通して象形で文字を作るだろう。そんな風に想っていると、不思議なことに色々なイメージが全身に降り注いできた。これがダビンチの想いなのか、降り積もる人々の想念なのか、この教会の記憶なのか、それは分からない。でも、僕が知りたいこと、教えて欲しかったことは、しっかりと受け取りました。やはり、どれだけ有名なモナリザにしても、最後の晩餐にしても、バーチャルではなく、リアルで。他人ではなく、本人の肌で感じること。その積み重ねこそが、人生の最高の宝となっていく。
          ノムラテツヤ拝
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イタリア | コメント:0 | トラックバック:0 |

質問状

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「野村さん、ひとつ教えてください」
若者から一通の質問状が届いた。
「野村さんは、一日に朝、昼、晩と3度にわたってブログもFBも更新されていますが、ネタが尽きる、または書くことが無くなってきたな、と思うことは無いのでしょうか?」
う~ん、質問の真意がよく分からないけれど、「書くことがなくなってきたら書かなければ良いのではないでしょうか? ブログやFBなんて、日記のようなもの。書きたくなければ書かなければ良いし、書きたければ書けば良いくらいの気持ちで十分だと思いますよ」。
ではネタが尽きる、書くことが無くなってきたと思うことはあるのか、ですよね? 答えは、ありません。だって、この世界があまりに精密な美のカケラで作られているから。その美を一つずつ見ていくだけで、僕の100年の人生ではまったく足りません。例えば、最近あぜ道を彩っているのがタンポポの綿毛。近づいてみれば、傘のような種子が放射状に付き、今か、今かと飛び立つ時を待っている。でも、その奥はどうなっているの? 中心には何があるの? そう、日常もそんな風に視点を少しズラすだけで、無限の風景が広がっているのです。書くことがないのではなく、怖いのは視点が固定化してしまうこと。僕らが生きるように、周りの自然も日々ダイナミックに変わっているのです。これが答えになっているのかどうか、分かりませんが、僕は写真家なので、2枚の写真で見せますね。あなたはどちらの人生を選びますか?
           ノムラテツヤ拝
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日本 | コメント:0 | トラックバック:0 |

新世界写真543

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としさんが亡くなって、もうすぐ一年になる。
「てっちゃん、一緒に祈ろうか」
ひろちゃんが、としさんの遺骨を手のひらに置いた。
としさんの分身は、ウユニの風に乗って、大空へ飛び、舞った。
あの大きな笑顔を思い出すだけで、今でも胸が締め付けられる。
でっかい、でっかい、打ち上げ花火のような人だった。
http://fieldvill.blog115.fc2.com/blog-entry-2724.html
夕日が、まるで海へ吸い込まれていくように、塩の湖へ溶けていく。
テルテル坊主のようになったかと思いきや、最後はグリーンフラッシュ。
幸福の緑の光が輝いた。
「としさんの仕業ですね、きっと」
「あいつならやりかねないな、神様を脅して、最高の夕日を出せって」
やがて背後の雲が焼けてくると、周りの空気がピリピリと張り詰めてきた。
どうしたんだろう?
振り返ると、僕たちは一瞬で固まった。
そこには大きなフェニックスが飛んでいたのだ。
としさんがあの世から不死鳥となって、こちらを見下ろしていた。
ダメだ・・・僕はただ見上げ続けた。じゃないと、涙が溢れて止まらなくなってしまうから。
ノムラテツヤ拝
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