写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

エゼキエルのこころ

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フィッツロイトレッキングのガイドは、エゼキエル。
まだ20代の若き青年だった。
「このグループはどんな集まりなんだい?」
「みんな仲間たちだよ」
「こんなに年齢差があるのに」
「うん」
エゼキエルははにかむように微笑んだ。
そして、トレス湖までの急斜面を登っているとき、突然コンドルが目の前
を飛翔した。
「うわぁぁぁぁ。うぉぉぉぉぉ、すごーーーーい!」
みんな、思い想い感嘆の声を上げると、エゼキエルは、また笑った。
「今まで沢山の日本人グループをガイドしてきたけれど、君たちのような
のは初めてだよ」
「どういうこと?」
「日本人は、スペイン語や英語を話さないっていうこともあるんだろうけ
れど、僕たちからはシャイに見える。日本はテクノロジーのとても高い国、
コンドルが出ても、あぁ、コンドルなら知ってるよってな顔をする人たち
が多いんだ。でも君たちときたら。まるで子供のようにはしゃぐように喜
ぶんだから。こんなハッピーなグループを見たことがないよ。有難う、色
々な日本人がいるんだね!」
氷河湖畔で泳いでから、絶景の展望地へ。
ここで僕は、愛すべき男、フージオの散骨をした。
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フィッツロイとトレス湖が展望できる奇跡のような一角に、遺骨を蒔いた。
「今日も生かして頂き有難うございます」と手を合わせると、風の中にフ
ージオの声が混じった
「∞の∞の感謝だよ」
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頭を下げてザックを背負おうとすると、エゼキエルが話しかけてきた。
「何に頭を下げているんだ?」
「フィッツロイの山とか、大空とか、湖とか」
「あぁ、そうか、それなら僕たちの国にもある。アルゼンチンの北部は、
大地などに祈りを捧げる」
「インカ文明圏だものね、アプ(山)、パチャママ(大地)、ビラコチャ
(インカの創造神)とかに」
「そうそう、僕もその思想を支持している。ところで白い粉のようなもの
を蒔いていたけれど、あれは?」
「秘密」
「そっか、それなら良いんだ」
その話し方があまりに自然体だったから、僕はフージオのことを話した。
大好きだった男のことを。
エゼキエルは、黙って僕の話を聞いてくれた。
「僕はガイドとして、2日に一度はここにやって来る。今回こんな素敵な
グループと出逢ったのも何かの縁、そして君が愛する男が、ここに眠ると
いうのであれば、僕は毎回、この地に来るたびに、今日を思い出しながら
手を合わせるよ」
涙が溢れそうになったけれど、僕は天を見つめた。
「フージオ、良かったね。いかにもあなたが好きになりそうな男と友達に
なったよ」
暖かな七色の光が降り注いだ。
それがフージオの言葉だった。
                ノムラテツヤ拝
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