写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

ムンクの叫び

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オスロの国立美術館。
その19番部屋に、ムンクの絵がズラリと飾られていた。
凄い行列になっているところが勿論「叫び」。
僕はその絵に近づいて、横から見てみた。
美術の教科書に出ていた誰もが知るムンクの叫び。
でも教科書では絶対分からないのが、どれだけの色を重ねて厚みを作っているかということ。そしてそこから発せられる
エネルギー。
グルグル、グルグル。絵の周りはそんな気に満ちていた。
ムンクの言葉を信じれば、この絵の誕生秘話はこうだ。
"わたしは2人の友人と道を歩いていた。太陽は沈みかけていて、突然、空が血の赤に変わった。わたしはふと憂鬱を感じて立ち止まった。青黒いフィヨルドや町並みが炎の舌と血に覆いかぶさるようで、ひどく体がだるい。友人は歩き続けたが、わたしはそこに立ち尽くしたまま不安に震え、自然の発する果てしない叫びを聴いた"
つまり、叫んでいるのは、ムンクではなく、まわりに自然。本人はその声を聴いているという設定なのだ。
絵を前にして、ジックリとその中へ入っていく。自分の気と絵から放たれる気を合わせていく。
鬱や精神疾患のような、気が僕の体に入りこんでくる。
その答えを、僕は次のムンク美術館で知ることになるが、その前に、国立博物館で最も感動した絵、それがマドンナだ。
一目見た瞬間に、額から飛び出してくる存在感に圧倒された。
そして、まるでセックスしているような女性の声が波紋のようにこだましてきた。上部から月の光が射し込んでいるような色合いに、身体は妊娠している。
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マドンナだから、通常はマリア様のことを指す。でもこの絵はムンクの愛おしい人だったのかしら?
色の厚みを見ると、まさにムンクの愛のように、何度も何度も重ねられていた。
ムンクのことを何も知らない僕はその足で、ムンク美術館へ。
ここで、幼少時の母の死、そして青年期の父の死。本人は精神疾患にかかっていたことを知った。
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ポートレートが何枚も展示されているが、時代と共にどんどん暗く、赤や黒が多くなっていく。最後は、地獄の業火に焼かれたポートレートで締められていた。
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マドンナの版画版もあった。周りには白い骸骨のようなものと精子が泳ぐ姿。
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精神的に飛んでいたムンクは、それらを周りではなく、絵の中にぶつけて偉大なる成功をおさめた。
ムンクの叫びの舞台となったエーケベルグの丘へ。
少しずつ陽が傾き、オスロの静謐な夜景が浮かび上がった。
              ノムラテツヤ拝
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