写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

巨星

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周りから友達が次々といなくなっていく。
それが自分の問題なら、自身が変われば良いだけ
でも、もしそうでなければ・・・。とても怖い。
僕の幸せの原点は、やはり父母兄弟が仲良くしていること。そして友人知人、周りの人たちがニコニコしていること。そうじゃないと悲しくなる。
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アイガー北壁(3970m)の上に天の川が架かった。
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ボーッと見上げていると、無数の流れ星が墜ちていく。
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20歳の時、僕は写真の師匠というべき男性に出逢う。その人の背中の格好良さは別格で、すぐに虜になった。23歳の時に他界され、僕は師の住んでいたアラスカに自然と足が向かなくなってしまった。
そこへ出てきたのが南極。元来ペンギン好きだったので、スペイン語も何も分からぬまま南米へ。バスに3日間揺られて最南端のウシュアイアへ。南極へ旅立った。
そこからパタゴニアやアンデスへとフィールドが広がり、大切な友人も増えていった。
27歳のとき、ペルーの巨人・阪根博と出逢う。
ひろちゃんは僕の欲しかった力を、いくつも兼ね備えていた。僕は時間があればペルーへ飛んで、ひろちゃんに美味しいペルー料理を食べさせて貰いながら、間近で行動や言動を学ばせてもらった。そして何より日本ではなかなか逢えない心のビックな人たちと出逢わせてもらった。
師匠は写真家でありながら、稀代の文筆家でもあった。でももう一人、写真家でありながら、文章がとんでもなく上手い人がいた。
アンデスを誰よりも愛し、誰よりも歩き、誰よりも食べた写真家。コンドルの写真を撮るために3日間地面に穴を掘ってその中で待った逸話も。時代というの追い風もあり、現在では決して撮ることの出来ないアンデス風景を、彼は祈るようにシャッターを押し、
積み重ねていった。
その人の名は「高野潤」。間違いなくアンデスで最も有名な写真家だ。
僕がファンだと告げると、ひろちゃんは友人でもある高野さんをすぐに紹介してくれた。
27歳の時、僕は高野さんと出逢い、それから幾度もリマやクスコで時間を共にさせてもらった。
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豪放磊落。
まさにこの言葉がぴったりくるような人。僕が出逢う時はいつも酔っぱらっていた(笑)。
「おい、お前、良いヤツだな。今度俺の助手にしてやるから付いて来い!」
クスコの夜、ピスコを飲みながら肩を組んで誘ってくれたのを僕は決して忘れない。
新書は写真の色が霞んでいて駄目、と思い込んでいた僕に、高野さんは身をもって教えてくれる。印刷の仕方によって、ここまで鮮やかに出せるんだと。
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中公新書の「マチュピチュ」を読んで、僕もここで本を出そうと決めた。
「パタゴニアを行く(中公新書)」を出した時、編集者が気をきかせて高野さんに贈呈してくれた。突然電話が鳴り「パタゴニアは天候不順なのに、よくここまで撮り切ったな。おめでとう」と言われ、僕は崩れ落ちるように泣いた。
何をおっしゃる。あなたの背中を僕は追い続けただけです。
昨日、高野潤さんが、癌のため亡くなったとの知らせを受けた。
また一人、アンデスの巨星が逝ってしまった。
年を重ねるごとに、関わった人たちが次々と消えていく。
自分の年齢が上がれば上がるほど、どんどん年上の巨人がいなくなってしまう。
ひろちゃんは今、どう想っているのだろう。
不死身のような親友トシさんが逝き、屈強な高野さんまでもが・・・。
年齢を重ねることは、美しいことだと想う。でもその美しさは、同時に儚さでもある。
人生が美しいのは、有限の持ち時間“寿命”があるから。
頭ではそう分かっているけれど、でもやっぱり、僕は悲しい。
高野さんが晩年、中公を始め、新潮社や平凡社に、もの凄いスピードで書き連ねていったのは、自身の特異な体験を、僕たちに書き留めておきたかったから。
高野さん、あなたの文章を読んで、虜になりました。
少しでも近づけるよう、命を賭けてあなたの背中を目指します。
天国でも、どうぞ沢山美味しいお酒を呑んで、駄目出しして下さいね。
                ノムラテツヤ拝
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テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

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コメント

偉大な師匠たちの後を引き継いで下さい!!
そして私の知らない世界を写真でみせて下さいね!!
2016-09-21 Wed 23:04 | URL | ライラック [ 編集 ]
師たちは偉大すぎて(笑)
でも、がんばります。
2016-09-22 Thu 17:08 | URL |  野村哲也 [ 編集 ]

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