写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

大地の掟

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旅の準備が終わり、スーツケースは一足先に成田空港へ。
あまりに天気が良いので、新兵器と新レンズを持って出掛けた。
昔、なりたかった職業はパイロット。だからなのかな? 空撮をすると胸が躍る。
岐阜市内の水道山へ登って、そこから撮影開始。
紅白の鉄塔は岐阜放送のテレビ塔、その麓に昔、白亜の岐阜ユースホステルがあった。
父がここに40年ほど勤務していたため、幼少の頃からこの山と森が僕の遊び場だった。
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今も、森の中を歩けば、あの頃の思い出が、ありありと浮かんでくる。
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風は強いが、太陽が背中をほっこりと温めてくれる。懐かしいユースへ続く石段を上ると、平地にススキの穂が揺れていた。
ここで僕は無数の出逢いをした。毎日泊まりにくる世界各国からのお客さん。瞳の青い旅人、髭の多いダンサー、クタクタの服を着たバックパッカー。そして旅人たちをもてなす側の各大学のユースホステルクラブのお兄ちゃん、お姉ちゃんたち。
僕はそんな人たちに、沢山手をかけてもらったんだな・・・と、何だかしみじみとして
しまった。
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建物や生命はいつか必ず朽ちる時がやって来る。でも最後に残る大地には様々な生命が、気持ちが記憶として刻まれていく。
南米チリに住むマプーチェ族のセルマばあちゃんが「大地の掟」を教えてくれたっけ。
「遠く日本からきた友よ、耳を澄まし、良く聞きなさい。私たちの足下に広がる大地は祖先たちの灰で出来ている。この大地は常に仲間の生命で溢れているの。大地が人間に属しているのではなく、人間が大地に属している。全てのものが悠久の時を超えた血のように繋がり、綿々と続いてきた血、それを作り上げてきた地。つまり大地に唾する者は、自分の血を汚しているのと同じこと。土地の所有権をめぐって人々は争いを起こす。でも、最後に人を所有するのは誰かしら?大地ではないのかい。誰もがいつかは、その下に埋められるのだから」
岐阜ユースの建っていた大地に、静かに手のひらで触れてみる。
さっきまで吹いていた風は止み、鳥の声が聞こえ始めた。
大地の記憶が僕の中へ入り込み、僕の記憶が大地へ流れ込んでいく。
                  ノムラテツヤ拝
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