写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

ラストティキ

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始まりと終わりは見えていた。
子供たちのために作る写真絵本。今度のテーマはポリネシア。
面積の巨大だが、物語も壮大になる。
イースター島、タヒチから始まり、ニュージーランド、ハワイで最後へバトンへ渡していく。
それぞれの繋がりは問題ない。でもハワイからラストの展開へ持っていくエピソードが見えなかった。
見事な溶岩の滝を見ても、キラウェア火山と満天の星を仰いでも、そのことがいつもあたまの隅にあった。
民泊した家に、ハワイの古代の建造物という本が転がっていた。
何気なく見て行くと、驚くべきことが書かれている。
今、現在ヘイアウ(神殿)に立つティキは、新たに作られたもの。
昔から連綿と続いてきた最後のティキは、祈り込みがされてきた本物のティキは、たった一体しか現存していないという。
そこに書かれている地図を読み取っても、いまいち分からない。
でもどうしても行かなければ。
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翌朝、僕は新しく作られたホナウナウのティキの写真を撮影してから、最後のティキを探した。
膝まで水に浸かって行くと、海沿いの森の中に一本の白木が立っている。回り込んで見ると、顔も無く、ただの棒のようになって
いた。
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落胆しながら撮影を始めると、そのティキの背後に白い影が見えた。
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近寄ると、それは倒れた、朽ち果てて行くティキ。背後に回るとしっかりと顔が残り、その大きな瞳と目が合った。
その瞬間、この本の一本に繋がり、圧倒的な感動が脳天へ突き抜けていく。
こんな時、僕は何かを作り上げる仕事に携われて良かったと感謝せずにはいられない。
やりたくてもやれない人が沢山いる中、こうして自分の作りたいものを、世に出していける幸せ。
この朽ちていくラストティキが、最後のピースを埋めてくれたのだ。
すぐにノートの今の気持ちを書き留めて、僕のハワイの仕事は終わった。
さぁ、しげるっちの家で、最後の晩餐をしようっと。
               ノムラテツヤ拝
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