写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

キツネの時間

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まるでサザエさん。
一匹のキツネが魚を加えて走っていく。
少し前から構えていると、目の前でピタリと足を止め、また何かにせかされるよう、僕の脇を抜けていった。
夏のキタキツネは換毛期のため、体はボロボロに見える。尻尾なんて、こんなに細くなっている。
車に乗り込み、キツネを追い越してしばらく行くと、テトラポットに3匹のキツネの姿。下りて近づいていくと、なんと子ぎつねだった。
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遠くから一枚、一枚と撮影していると、突然、子供たちが一斉に走り出した。そこにはさっき追い抜かしてきた、サザエさんがいた。
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彼らのお母さんだったのだ。子供のために一匹の魚を分け与え、こちらをちらりと見やる。僕はその姿を、ただ見つめた。
野生動物を撮影するとき、大切なのはその距離感。英語ではそれをナチュラル・ディスタンス(自然の距離)と呼ぶ。
動物の種類によって、同種でも個体によって、様々だけれど、心がけるのは、僕の距離に相手を巻き込むのではなく、相手の距離に寄り添うこと。相手が嫌がる距離になる一歩手前で、ジッと座り込む。
すると、どうだろう。
一匹の子ぎつねが、こちらに興味を示し、少しずつ間合いを詰めてくる。そして風上に立つ僕の匂いを確かめるように、鼻を高くあげた。
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そして、ジッとこちらを見る。キツネと僕の人生が重なる瞬間。僕はこんなとき、無上の幸福を感じる。
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人生で出会える、こんな風に向き合える命は、どれだけいるのだろう?
間違いなく、この子ぎつねは、僕の大切な時間(瞬間)となった。
ノムラテツヤ拝
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