写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

ヒグマ

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知床に来た目的、それはヒグマだ。
今までアラスカで50頭以上、日本では東北と飛騨で1頭ずつ対峙したが、日本のそれはツキノワグマでヒグマと比べて断然小さかった。
「アラスカのヒグマと北海道のヒグマはどれほど違うものなのか?」
僕は書籍や番組ではなく、自分の目を通して体感したかった。
知床は、数日間、猛暑に悩まされていた。連日30度近くになり、半島全体が湯だっている感じ。
「これはチャンスだ」と思った。
熊は基本的に暑さに弱い動物。であれば、これほど猛暑が続けば動くのは基本早朝か日が落ちてからのどちらか。
動物探しは、現地の人からある程度情報を聞いたら、あとは体験がものをいう。そして最も大切なことは自分が熊になりきれるかどうか。
「もし自分が熊だったら、いつ頃、どんな場所で、何をする?」
そのシュミレートを前日に済ませ、いざ、日の出前の午前3時から探した。
まずは車で知床五湖周辺から、カムイワッカの滝まで。ヒグマが出そうなところは今までの経験で分かっている。どれくらいの斜面で、どんなところを好むか? もし僕が熊だったら・・・。
ある一角で、毛が逆立った。この近くにいる。気配が強くなり、舌が乾いた。周りをじっと見つめるが、熊の方が僕に気づいたのだろう。突然気配が消えた。カムイワッカの滝まで走っても、熊の影は見えなかった。
仕方なく来た道を戻る。
そして、林道を大きく曲がったところで、その瞬間が現れた。
森の奥で、熊笹がザザッと揺れた。
車を止めて、望遠レンズで覗く。
黒い影が一瞬見え、毛が垂直に逆立った。
間違いない。
笹やフキを食べている一頭の大きなヒグマ(グリズリーベア)だ。
エンジンを止めて、ジッとしていると、熊が斜面を降りてきた。
大きな倒木の前で止まり、木の皮を剥がして口に入れた。間違いなく大好物の「蟻」だった。
レンズを1本だけ持って、外へ出る。遠くから一枚一枚シャッターを押していると、背後から風が吹いた。風下の熊は、僕の匂いがかぎ取り、頭をグッと持ち上げた。
目は穏やかだ。
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こうであれば、熊は目の前のことに集中しているので、襲ってはこない。
花園の中を歩いたり、森の中でゴロゴロしたり。
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でも、川に降りて来る時は、距離が近くなったのか、熊の方から「もう少し離れろ!」と話しかけてきた。
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数歩、後ずさりすると、彼は静かに目的の清流へ降りていった。
             ノムラテツヤ拝
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