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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

黄泉比良坂

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リマ空港隣接のホテルで一泊して、翌日フリアカへ飛んだ。
予定ではリマ~ラパス(ボリビア)に飛ぶ予定だったけれど、乗り遅れたことによって、大幅に旅程を変えることになった。
朝まで雨が降っていたフリアカは、白い霧にけぶり、そこへ揺れながら着陸。バスで一路、琵琶湖の13倍もあるティティカカ湖へ向かった。
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ここは定期巡行船が通る、世界一高い湖であり、プレインカ文明発祥の地とも称えられる聖地だ。
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道脇にはもうすぐ収穫を迎えるキヌア(アカザ科)が、たわわに実を付けていた。栄養価の高いスーパーフードは、ここが故郷なのだ。
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走り始めて3時間ほどで、ゴツゴツした岩の連なりが見えてきた。まるで、シャスタのような風景に見惚れていると、ひろちゃんがポツリと呟いた。
「この近くに、昔から大切にされている次元の扉があるんだけれど、寄ってみる?」
「次元の扉ですか?」
「うん、俺はよく分からないけれど、そう言われているんだ」
急遽、行き先を変更できるのも、我らの旅の強み。皆も行きたいと同調してくれた。
今日、僕たちのガイドについてくれたのは心優しきウィリー。博学なのは勿論、スピリチュアルな世界にも精通していた。
「この遺跡は昔からシャーマンたちが集う聖地とされ、ティティカカ湖の中で最も大切にされてきた」
連れていかれた場所は、大きな一枚岩に、自然に彫られたという石の扉。その両脇に縦に走る溝があった。
ウィリーから祈り方を教えてもらう。
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真ん中の扉に一人が入り、両脇にも立つ。すると何かが起こるという。
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扉の中には、更に四角に彫られ、中央にくぼみがある。おそるおそるそこに額を付けた瞬間、僕の目の前に母方のおばあちゃんの顔が浮かんだ。
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ビックリして額を外すと、何も見えなくなり、また付けるとおばあちゃんが向こうからこちらを見ている。
これって、もしかして。次元っていうのは、現世と黄泉のこと?
おばあちゃんは僕をじっと見つめ、あの優しい笑顔でほほ笑んだ。その瞬間、嗚咽と涙が溢れ、僕は崩れるように岩にしがみついた。
大好きだったおばあちゃん、その向こうにはおじいちゃん、父方のおばあちゃんの姿、更に向こうには光の玉がいくつも並んでいた。
「生命の樹」
親の2乗の先祖がいて、自分は現世の代表者。その先祖たちが、ずっと奥に続いている。
皆が逢いにきてくれているのだろうか?
涙をぬぐい、額を離すと、額の中央に穴が開いたような感触が。ここは次元の扉ではなく、まさに現世と黄泉を繋ぐ目だ。窪みをよく見ると、向こうから人が覗いているように見えてくる。
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次の瞬間、プレインカ時代の風景が浮かび上がった。シャーマンたちはここで祈りを捧げることで、黄泉との繋がる道を額に作ったのだ。
天から雨がポツリと落ち、ズボンにシミが残った。それは不思議と冷たくなく、暖かな涙のようだ。
パツパツと、その涙は大地を濡らした。
「てっちゃんの言うのは、まさに黄泉比良坂(よもつひらさか)だな」
ひろちゃんが背後から声をかけた。
「よもつひらさか」とは、日本の神話において、生者の住む現世と死者の住む他界(黄泉)との境界を指す。
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いっぱい泣いたからか、無性に小便がしたくなった。アンデスの草むらで、用を足すと、暖かな雨が更に強くなった。
それは天からの声、いや、現世、黄泉、そして来世から届く伝言だった。
          ノムラテツヤ拝
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