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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

神々のパズル

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今、新しい本を2冊作っている。
一冊は福音館のたくさんのふしぎ(写真絵本)、もう一冊は中公新書のカラー版だ。ポリネシアを舞台とした絵本原稿は既に書き上げたが、まだウユニ塩湖の原稿を書き始められないでいた。
ボリビアのウユニ塩湖に来るのは、これで通算13度目。乾季6回、雨季6回だが、雨季と乾季の狭間の五月に訪れたのは初めてだった。
車で走ると、不思議な円形が、塩湖上に幾つも描かれていた。
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「塩の大地が乾燥によって固まるとき、上昇気流が巻く。それらの跡なんだ。ウユニ塩湖は風の大地でもあるから」とガイドのイサック。
雨季の湖が強い直射日光によって乾燥し固まる。ドロドロの塩が上昇気流によって回転しながら結晶化していくというのだ。
何かが脳で繋がりかけたが、全貌を掴みきれない。
突然車が止まり、運転手のホセが「オッホ・デ・アグア(塩湖にあいた塩の穴)だ」と呟いた。
それらの穴に手を突っ込み、塩の結晶を採取していると、イサックが「昨日頼まれていたものは、ここで食べたほうが良くないか?」と耳元で囁いた。
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そう、毎度ながらどうしても欠かせないものがある。黄色いタッパーに入れられたゆで卵。それらを、この塩の穴に入れて食べると、Yくんの顔がパチンと弾けた。
「リコー(うまーい)」
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最初は少し固かった表情も、日を重ねるごとに肩の力が抜けて柔らかな笑顔になった。
ドローンを飛ばすと、さっき見た結晶化した円形の凝固跡がよく見える。そう、これはまさに「天を見上げる瞳」だ。
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「ウユニ塩湖は風が作り上げる壮大な造形美。大自然のアートであり、白いキャンバスに描かれた壮大な絵。風が表面にエッジを立たせ、天の瞳をウユニ塩湖に映し出しているのだ」
本のイメージが、僕の中で一本に繋がった瞬間だった。
Yくんの夢を叶える旅をアテンドさせてもらったご褒美。それがこの強いインスピレーション。六角形の塩の結晶は神々のパズル、それらがひとつ、またひとつとはまっていく。
              ノムラテツヤ拝
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テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

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