最後の夢2018-05-31 Thu 09:47
![]() 「もう一つだけ、夢が残っているんですけれど」 ウユニからボリビアのラパスに帰ってきた時にYくんがポツリと呟いた。 「君のための旅なんだから、なんでも言ってみなよ」 「ラパスの夜景を撮影したいです」 むっ。それは少し難しい問題だった。 空港からすり鉢状の町ラパスへ下るときに、ミラドール(展望台)は確かにある。でも1ケ月前から大規模工事中で駐車禁止になっているのだ。新たにかかったロープウェイもあるが、それを使っても圧倒的な夜景が撮れるかは懐疑的だった。 「夢を叶える旅」。それも最後の夢だもの。大切にしてあげたいな。 ティワナク遺跡を見てから、ラパスのホテルへ。レセプションで交渉すること数分、「俺に任せておけ!」と胸を張る運転手が現れた。一点も曇りのない真っすぐした瞳。彼に賭 けてみることにした。 夕日が町から少しずつ離れる頃、ラパスの町中から一気に上がっていく。20分ほどすると左手に展望台が見えてくる。どうするんだろ?と思っていると、捨て身のUターン。そして小さなスペースに車を滑り込ませるように停車させた。 「俺はここで待っているから、好きなだけ撮影してこい!」 Yくんと三脚を立てて、山頂から撮影を開始した。 夕日がラパスの背後に聳えるイリマニ山(6438m)を染め上げ、街はホタルのように、ポツリポツリと明かりが点灯し始めた。 ![]() ブラジルのリオデジャネイロと並び、南米屈指の都市夜景ラパスが目の前に。横を見ると、Yくんが真剣な表情で撮影していた。一枚、また一枚。 ![]() 「今が最高の時間帯だよ」 「はい」 Yくんのカメラから最後のシャッターがきれた。 「今回の旅、最高でした。本当に有難うございました。自分を変えるきっかけを幾つも作ってもらい感謝しています。野村さんに言われたように、自分のことを沢山考えてみます」 成田空港で別れるとき、Yくんはそう言い、頭を下げた。 道産子の彼に僕が言えること、それはクラーク博士の名言だ。 「青年よ、大志を抱け! 一回きりの人生だもの」 ノムラテツヤ拝 ![]() ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタン ![]() ![]() |
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