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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

極北の力

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北極の海を泳ぐシロクマを見つけた。
器用に頭を持ち上げ、悠々と泳いでいく姿は、まさに動物界のアスリート。歩くのも早ければ、泳ぐのも得意なのだ。
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40分くらい追ったところで、姿を見失う。皆、デッキから夕食へと降りていくが、さらに粘ることにした。
僕は北極に食事にしに来ているわけではない。憧れの彼らと出来るだけ人生の時間を重ねたいと思い、今、ここにいる。
20分ほど経っただろうか・・・。シロクマの研究者BJが、低く通る声で、「見つけた。11時の方向、あの雪の上だ」。
焦点を合わせると、シロクマはローリングしたり、雪をかぶったりしている。長距離遊泳のため、体がほてってクールダウンしているかと思っていたら、どうやら違うらしい。BJ曰く「海の塩が付いたままだと、体が冷えてしまうんだ」。
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お腹、背中、足、腕、そして顔。まるでネコが毛づくろいするように、丁寧に落としていくというのだ。
足を上げたり、ヨガのようなポーズをとったり、雪のボールを持って、顔をゴシゴシと拭いてみたり。それらを見ているだけで、激しく抱きしめたくなってしまう。
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世界126ケ国の自然や動物を撮影してきたが、ここまでユーモアのある愛らしい生き物は、未だかつて会ったことがなかった。
これから命を結ぶその日まで、目を閉じれば、いつでもこのシロクマを感じることが出来る。それは何と豊かなことだろう。
極北(Far North)の旅は、今までの自分を激変させる不思議な力を持っていた。
          ノムラテツヤ拝
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テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

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