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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

羅臼のクジラ

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今日は羅臼の海へ。名物船長が、お目当ての大型動物を探すが、一向に見当たらない。
水中マイクを入れて、音を聞く。そう、探しているのはクジラ。半径4キロ以内であれば、クジラのクリック音をマイクで拾えるのだ。音を出している時はクジラが潜っている時。
「パチッ、パチッ、パチッ」
この音は、間違いない。マッコウクジラだ。
「どこに出てくるか分からないけれど、待ちます」
まさかのクジラの出待ち。アラスカ、南アフリカ、ハワイ、パタゴニア、アイスランド、ニュージーランドなど、今までホエールウォッチングを20回以上体験しているが初めての出待ち。さすが、日本と唸らずにはいられなかった。
「マッコウクジラは通常40分くらい潜ってから浮上します」。
船長のアナウンスが続く。今現在、どれだけ潜っているのかは、誰も分からない。10分、20分と、輝く海面を見つめながら待つ。30分たったとき、クリック音が消えた。上がってくる。
何処だ? ここはロシアと中国の境界線がある。もしそちら側に現れたら、もうクジラを追うことは出来ない。
「あそこだ!」
すぐ近く、知床側だ。船はスロットルを全開にし、浮き上がってきたクジラを追った。体長15mの大型マッコウクジラが、太陽の光を受けて体を光らせた。浮上しているのは、約7分。吸気口が一つしかないので、飛沫が斜めに上がるのもマッコウの特徴だ。
深呼吸を何度か繰り返し、さぁ、潜水の準備。1度、2度と勢いをつけて、3度目に巨大な尾を高く持ち上げる。
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「テイルアップ」
海水がまるで滝のように流れ落ち、一瞬時が止まる。
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そしてゾッとするくらい静かに尾っぽが沈んでいった。
            ノムラテツヤ拝
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テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

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