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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

光を蒔く人

ちょうど8年前、僕は南米ペルーで“光を蒔く人”に出逢いました。
僕の憧れの人を、その時に文章にしたものです。

『光を蒔く人』
「若いときに外国を旅することは、世界の目線を体で感じ、日本を再認識することにある。大切なのは自分の中で変化を生み、周りを少しづつ良くしてゆくことなんだ」
こんなエッセンスを僕に力強く語ってくれるのは、ペルー在住、天野博物館事務局長の阪根博さん。
「体験を経験に変えるのが旅の醍醐味」ときっぱり言い切るその雰囲気に、まばゆい力が煌めいていた。
「博さんの持論、教えて頂けませんか?」
ワイングラスをクイッと傾け、僕の目をしっかり見つめながら答えてくれる。
「誰に何て言われようが『自分に真っ直ぐ』『純粋に突っ走る』しかない。そんなうまい話ないってよく言われるけど、そんなことはねえ。真っ直ぐ、純粋に、自信を持って進めば、必ず助け船を出してくれる人がいる。『直球は正しいんだよ。直球は強えんだよ』そこに迫力があるから、変化が生きてくる。今を完全燃焼、思いっきり突っ走れ!」
彼はずっと後に生まれて来た自分に、何か大切なバトンを渡すように語り続けてくれた。
「いつの時代も同じこと。現代がもしも違うなら、それはみなが種まきをしなくなったことだろうな。人と人が利害関係なしに出逢い話し合う時間と空間。ここにこそ生まれる人の種まき。一、二年じゃ人の芽はなかなか出ないが、十、二十年続けてゆくときっと発芽するはずだ」
博さんは、ペルーを愛する人なら誰にでも力を貸してくれる。まるで自分が虜になったペルーの大地へ恩返しするかのように・・・。
その数は年間数百人にのぼるというから驚きだ。
正に彼は「光を蒔く人」だったのである。
生きとし生けるものは、いつか土へ帰り、また新たな旅が始まってゆく。そして最後に力を持つのは生命の種をいかに蒔き続けてゆくかという、シンプルなことなのかも知れない。
阪根博。
彼は「光の種」を心に蒔くことで、未来の土壌に希望の花を咲かせていた。
                                    ノムラテツヤ拝
ローマスの休日(c)
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テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

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