熱帯樹2019-02-23 Sat 19:06
![]() 今日は世田谷パブリックシアターへ。 劇場の前には、すごい人だかり。なんと当日券を求める人、そして立ち見席を希望する人たちだという。 関係者受付でチケットを貰うと、背後から声がかかった。 ![]() 「野村さん、お世話になっています」。振り返ると、遣都のマネージャーさんが人懐っこい表情で立っていた。 「この度は、おめでとうございます」 ひとしきり近況を報告して、早速劇場内へ。初めての世田谷パブリックシアターは、ビックリするほど、こじんまりとしていた。演じる俳優側と、観劇側の距離がとっても近いアットホームな感じ。ぞくぞくとお客が集まってくるが、9割は女性。ここでもおっさんずラブでブレークした遣都の人気が伺えた。 舞台には青白いライトを浴びたベッドがひとつ。 「熱帯樹」、三島由紀夫の作品を、天才肌の小川絵梨子が舞台監督を務める。出演者は遣都を含めて5名。ストーリーは莫大な遺産を持つ一家の成れの果てを追う。 遣都は妹から母の殺害を請われ、母からは夫の殺害を求められるという難解な役どころ。 妹がベッドに寝ているところから物語は始まり、奥から飛び込んでくる遣都。その第一声に驚いた。以前の舞台よりも、明らかに声が太くなっている。発声練習などを取り入れているのかしら? 物語の詳細はネタバレになってしまうので、これ以上は書かないが、人間の業と呼べる暗い部分だけに焦点を当て、その闇が熱帯樹の枝のように会場全体へと広がっていく。 セットは、アフリカ最高峰のキリマンジャロを模しているのだろうか? その麓には熱帯樹のような模様が描かれていた。 父と母が話し合っている時、舞台の裾からそれらを聞く遣都。スポットライトを逆から当てて、ゆらめく影で感情の不安定さを出していた。 鞴(ふいご)のようにいしずく息。 はかばかしくない。 ふうばぎゅう。 燃える秋の雲と、メノウのふのような闇夜。 星々の下を滑り降り、夜空が裸になった。 星と夜空、まるで一面の入れ墨だ。 重苦しい物語の中、格式高い日本語が星のように煌めき、プロットが的確に打たれていく。 熱帯樹に咲く花。真っ赤な艶々した鮮やかな花。その花は朝焼けの雲のように映える。 物語は怒涛のようにクライマックスへ。泣き、震え、悲しみ、怒り、そして満たされ・・・。迫真の演技が3時間。心の軌跡が、外界を作り、感情の機微が、物語のディティールを編んでいく。 最後は会場総立ちのスタンディングオベーション。「ブラボー、ブラボー」の声が小さな劇場に響き渡った。 終わってから楽屋に顔を出すと、今しがた緊張が解けたのか、柔らかい顔の遣都が抱きついてきた。 ![]() 「お疲れさん、良かったよ」 「今回は本当に難しくて・・・」 「でもしっかり言いたいことは伝わってきたよ」 「良かったです」 ふぅ~っと一息ついてから、遣都は風のように微笑んだ。 ノムラテツヤ拝 ![]() ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタン ![]() ![]() |
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2019-02-23 Sat 21:06 | | [ 編集 ]
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2019-02-23 Sat 22:37 | | [ 編集 ]
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2019-02-24 Sun 12:00 | | [ 編集 ]
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2019-02-24 Sun 14:50 | | [ 編集 ]
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