日本酒の宝石箱2019-02-25 Mon 17:13
![]() 昨日からの続きで、今日はGEM by motoさんのことを書こうかな。 店主の千葉麻里絵さんことマリリンは、日本酒のスペシャリスト。一口飲んだだけで、どのような成分が入っているのかが分かる絶対味覚の持ち主だ。 「まずはイメージで」と出されたのは、遣都にはウィスキーの樽につけた日本酒を、僕には風の森だった。 「奈良の銘酒ですね」 「ふふふ、遣都くんの言われる通り、詳しいですね」 「詳しいというよりも、ただ、ただ好きなんですよ」 一口飲むと、冷え切った液体から、酸味がぼんわりと広がった。んっ、違う。何故だ? 僕は今まで飲んだお酒の味は、イメージで置き換えているのでほぼ覚えているけれど、この風の森は、僕の飲んだ味と違う・・・。 「風の森って、こんなに酸味がありましたっけ?」 「これ、-5度で氷温冷蔵してるものなんです。だから甘みが無くなり」 「酸味がでる」 「そうなんです」 -5度で冷蔵している、これでこの店の凄さが分かる。もうすぐで凍るという手前まで冷やすことで、酵母の動きを止め、ゆっくり熟成させていくのだ。 愛知の銘酒義侠の山田社長から以前に教えてもらった方法を、酒蔵ではなくお店でやっているなんて。ハイコスト・ローリターンにならないのかしら? お通しは真ハタのお刺身から。 ![]() 角がピンと立ち、店名(GEM)にもなっている宝石のような輝きが、内側から発光しているよう。味はもちろん深みがあり、オリーブオイルと塩が三位一体のマリアージュを奏でる。 次はこれで。 ![]() 初めてみるラベルに、不思議そうな顔をしていたのだろう。マリリンはすかさず、「これ、うちの店と仙禽さんのコラボなんです」。 仙禽とは栃木の酒蔵の名。 「いくつくらいとコラボされてるんですか?」 「え~と、10蔵くらいですかね?」 「コラボするには最低どれくらい仕入れないといけないんですか?」 「それぞれですが、3000本くらいです」 脳内に、バシバシと電流が流れるような衝撃だった。僕は南アフリカのとあるワイナリーを購入し、オーナーになろうと思っている。でも、莫大なお金がいるので、それらを工面するのに奔走しているが、自分の好きなワイナリーに足を運び、そことコラボで作れたら、なんて楽しいのだろう。世界中の愛すべきワイナリー20蔵に絞って、それらで勝負する。単純計算で20蔵×3000本だから、年に6万本。さばき切れなくはないな。そんなことを想い胸を躍らせていると、苺と春菊の白和えが出てきた。 ![]() 苺??? でも白和えと混ざると、苺の酸味が消え、それらがまあるい深みとなっていく。さすが「絶対味覚」と心がグイっと動かされた。 そして、ブルーチーズハムカツ。 ![]() ブルーチーズもハムカツも大好物の僕は、唾を飲み込んだ。「それにこれを合わせて下さい」。赤トンボ柄の瓶から注がれたのは、ドロドロのどぶろくだった。 ![]() 「げっ、僕、岐阜出身なので、昔から美味しいどぶろくをたらふく飲んでいて。中でも特区の飛騨にどぶろくの神のような方がいて、そのどぶろくの味が忘れられないんです。でも亡くなってしまったんですけれど」 「そうなんですね。私もコレが今まで飲んだ一番のどぶろくなので、軽く野村さんの味を越えていきますよ」 ふふふ、こういう女性、好きですよ。 一口飲んでみると、コメのふくよかな甘みと酸味が絡まり・・・。 ![]() 「どうしました?」 「いや、もう一口」 やっぱり、ふくよかな甘みと酸味の後に、今まで感じたことのない苦みに包まれる。 「この苦みは一体なんですか?」 「えっ、凄い。野村さんで2人目です。この苦みに気付かれたのは。実はこれ特別なお米で作っているのですが、米麹に含まれる苦みなんです」 「飛騨のどぶろくとどちらがと言えば、悔しいですが、こちらですね。苦みもあるし、まだこの世に生きているわけですものね」 しっかりとこの生産者の情報を教えてもらい、今度行こうと決めた。 「ハムカツの後にこのどぶろくを呑んでもらえますか?」 勿体ない・・・。でもとハムカツの後に流し込むと、なんと口内はホワイトシチューになった。どういうことだ? 「日本酒の味は、香りが8割、味が2割なんです」 初めて聞く概念だった。香りが8割? でもだからこそどぶろくがシチューに変わるのが容易に想像できた。 次はイチジクガッコチーズ。 ![]() イチジクの甘みとクリームチーズ、そしていぶりがっこ(沢庵)のコリンコリンの触感に笑ってしまった。なんだこの犯罪的なウマさは。 鯖味噌も気品のある味付けで、 ![]() カモと揚げ菜の花の黄身酢味噌ソースは、ぬる燗にすこぶる合った。 ![]() そしてこの夜、僕が一番感動した逸品が目の前に。 「アボカドの白味噌酒粕漬け」。 ![]() アボカドのクリーミーなねっとり感と漬物の味が融合して、頭が痛くなる。快楽物質のエンドルフィンが出まくっている証拠だ。 これで終わってくれないのが、マリリン。更にオカラとサバ、エシャロットと天かすで巻いたサバ巻き。 ![]() これに樽色の付いた琥珀色の日本酒にコショウが舞っている。 ![]() 「日本酒とコショウを合わせると、あるものになるんです」 「レモンティー」 「そうなんです」 まるで魔法だった。ラストは、好みを見透かされているように、ラム肉で〆。 ![]() お会計を済ませ、外へ出ようとすると、マリリンが「遣都くん、書いてよ」と黒ペンを渡す。恥ずかしそうにしながらも、白い壁にサインを描き始めた。 「何か、コメントも」 サインの下に記された言葉。それが「日本酒を学びます。」だった。遣都の故郷・滋賀にも、萩の露を筆頭に美味しいお酒が沢山あるものね。ひとつひとつ、共に勉強を積み重ねていこうぜ。 GEM by moto(日本酒の宝石)。店名に負けしない圧倒的な迫力に満ちていた。マリリン、また遊びに行きますね~! ノムラテツヤ拝 ![]() ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタン ![]() ![]() |
コメント
日本酒が好きで、以前林遣都さんにプレゼントで日本酒を2回お贈りした事があります。
愛知県設楽郡の蓬莱泉「美」と、三重県の「風の宮」。 遣都君は一番の親友と飲んだと言ってくれて、嬉しかったですv ただ遣都君、飲み過ぎて飛んじゃったらしく……(笑) その彼が、こんな素敵なお店に大事な方と一緒に行く……感慨深いです。 遣都君が日本酒好きになってくれて嬉しいです。 私は最近は無濾過生原酒にハマって、飲み比べています。 後、山田錦以外の使用米の物を。(共に純米酒で) その土地で生まれた米と水から作られる日本酒、素敵だと思う訳で。 野村さんはどんなこだわりがありますか? まだまだ飲んだ事ないお酒があって、日本酒の魅力にとりつかれています。 このお店もいつか行ってみたいです。(名古屋在住なので泊まりでないと行けない) 素敵な記事、ありがとうございます!! 2019-02-26 Tue 23:15 | URL | 安倍 光明 [ 編集 ]
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