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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

惚れる人

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どうして人は人を好きになるのだろう?
他人のことは分からないから、それを知る手がかりは自分の中にしかない。
今まで僕が大好きになった人たちを思い浮かべてみる。
面白い人、優しい人、自分と似た人、まったく似てない人。男女問わず、様々な人が走馬灯のように僕の脳裏に流れていく。植村直巳、星野道夫、阪根博・・・・・。同姓で好きになる人は、僕にとっては憧れの存在なのだと思う。憧れを更に掘り下げていくと、自分のやりたいことを迫力を持って突き進んでいる人、僕のまったく無いものを持ち合わせている人、物事を観る視野が広い人。それを集約すると「地球を全力で遊びきっている人、自身の人生を精一杯使いきっている人」に僕は惚れる。
横浜の自宅で、セコセコと雑務をこなしている時、大好きな友人ツッチーからのメールに釘付けになった。
「てっちゃん、今からカジキマグロ釣って来るヨ!」
海なし県の岐阜に育った僕には、海の中の生き物は未知の世界。その王様ともいえるカジキマグロ(マーリン)を。
「お前は松方弘樹か!」と一人で画面を見ながら突っ込んでいた。
「うぉっしゃー、釣れたデ」
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次々送られてくる写真に僕は見入り、仕事が手につかなくなってしまった。
「どうして僕は自宅に、どうして彼はこんな面白そうな場所に?」
それらが頭の中でグルグルとまわり、体がソワソワしてしまうのだ。
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「いいなぁ、いいなぁ~」と伝えていたら、
「てっちゃん、送ったげよか?」とライン。
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「えっ、マジ? でも数日後からまた海外だから」
「その前日までに着くように何とかする」
2分後、「てっちゃん、送ったよ!」と連絡がきた。
「きゃぁ~嬉しい。でもどうやって食べるのが一番美味しいの?」
「カジキはサバ科だから、ほんとはカジキサバが正解かな。高く売るための作戦なの。さばいたらお腹からカツオが2匹出てきた。食べ方は照り焼きステーキ、またはから揚げもうまいデ」
世界は、地球は、なんて上手く創られているのだろう?
僕たちの魂に与えられるものは、一つの体。寿命は長くて100年。それで地球上の全てを遊び尽くすことは出来ない。だからこそ、地球を遊び切る仲間たちの存在が必要だ。彼らが僕の代わりに海で遊んでくれ、その体験を共有してくれる。獲物をご馳走してくれる。そうやって、みんなでひとつとなり、この生命の惑星「地球」に遊んでもらっているのだ。
「今度、伊豆でカジキマグロの大会があるから、てっちゃんゲストで参加しなよ。俺の友達紹介するから」
「行く行く~」
ピンポーン。おっ、来た来た。カジキマグロが沖縄からやって来た。荷をとくと、部屋中に海の香りが。まずはラピスラズリ色のカジキの皮を剥いで、血合いを処理しながら丁寧に捌く。
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皮は固く弾力があり、その下に隠れる骨のような筋もピンと張っている。大海原を少し前まで悠々と泳いでいたんだもんなぁ。
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ツッチー、有難う。海の宝に感謝して大切に頂きますね。
まずは生で食べてみる。ほんとだ、マグロよりもサバっぽいわ。さぁ、お昼は照り焼きステーキにしてみようかな。
             ノムラテツヤ拝
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テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

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