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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

もといさん

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萩の旅が終わり、更に西へ。
機上から眼下を見下ろすと、日本の宝、沖縄の蒼き海が見えてきた。
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「てっちゃんを連れていきたい鮨屋があってさ」
沖縄の友、慶太くんと今日はスシナイト。ホテルで久々に再会すると、慶太くんの頭は金髪になっていた。
「いいねぇ、その色」
「スーパーサイヤ人みたいでしょ」
ホテルに荷を下ろし、2人で歩いて「もとい」さんへ。
「てっちゃん、今夜行く鮨屋は、沖縄はもちろん、日本で一番高い鮨屋かもしれないよ」
おぉぉぉ~、そんな商売を沖縄でやるなんて、よっぽど何かが突出しているんだろうな。
看板の無いお鮨屋さんの上品な戸を引くと、中には勝新太郎のような大将が立っていた。
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「慶太くんから聞いていますよ。今日は楽しんで行ってください」
眼光は鋭いが、、瞳の奥には優しさが漂った。
一品目は出汁の中で泳ぐしろうおを、生きたまま呑む。
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喉にブルルという振動が伝わり、食道に滑り落ちていく。
青森のヒラメは、完璧なコブ締め。食感がコリンコリンなのは鮮度が良い証。
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沖縄でこれだけの生きの良い食材を揃えられることに感動していると、間髪入れずにイカの一夜干しが。
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腹わたの苦みが津波のように口内に押し寄せ、それを出羽桜の「一耕」で迎え撃つ。
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丁寧に下処理された瀬戸内のさよりは、白身魚の概念を超える逸品。
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富山のホタルイカもプリンプリンだった。
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「ここは江戸前でね。日本各地から最高の旬を集めて握ってくれるの。僕はもといさんが無かったら、こんな沖縄に長く滞在してなかっただろうなぁ」
もといさんとの出会いを聞くと、慶太くんがまだ20代の頃、日銀の沖縄支店長にこう言ったという。
「沖縄で一番高い店に連れてって下さい」
ふふふ、若い時はそれくらい生意気な方が良い。だって生意気っていうのはそれだけ生の氣を存分に出しているってことだから。
まだ握りまで行かない内に、菊花とウルイの椀物が。ウルイとは、岐阜でもよく食べる山菜で、通常は酢味噌や三杯酢にして頂くが、ここではカツオの効いた出汁がウルイに滲み、今まで体感したことのない京料理のような味付けなっていた。
「すごいね、ここは」
心から美味しいため息をつくと、慶太くんが一言。
「いつも大将が言うんだよ。ここは大人の遊び場だって」
「お腹いっぱい食べにくるとこじゃなく、会話も味も遊ぶ?」
「そういうこと。そういえばてっちゃんとこうやってサシで呑むのって初めてじゃない?」
「そうだね、いつも宴や旅の中では呑むけれど、大人数だものね」
「今夜はゆっくり遊ぼうよ」
         ノムラテツヤ拝
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