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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

チクラヨ

レチェティグレ(c)

ペルーの大地を初めて踏んだのはいつの事だったろう?
多分、10年前にマチュピチュとチチカカ湖を訪れたのが最初だったように思う。
8年前に阪根ひろちゃんと出逢い、出逢った翌日の昼、僕はプンタ・サルにいた。意味は「塩の岬」とでもなるのか? ペルーの首都・リマでも有数のセビーチェリアだった。
その時の僕は、ペルーの国民食の“セビーチェ”の存在すら知らない状態。セビーチェとは白身の魚やエビなどの魚貝類に、トウガラシ、紫玉ねぎ、胡椒、塩、そして日本でいうところのカボスとライムの中間のようなペルーレモンをたっぷり絞ってミックスしたものだった。
セビーチェ(c)

今回も北へ向かう前に、リマでセビーチェを食べようと思い、約4年ぶりにプンタ・サルへやってきた。ミックスセビーチェとタジャリンサルタード、そしてビールとレチェディグレも併せて注文した。色々な魚介類が入ったセビーチェ、ペルー版の焼きそば、そしてセビーチェを作る時の汁が虎の乳(レチェティグレ)だった。レチェティグレは、ペルー国内でも人気が高く、食欲減退や二日酔いにてきめんとされる。ビールと一緒に出てきたので、口をつけると、しびれが来るほど酸っぱい。
「んあぁぁぁ」。体がブルブルッと震える。
うまいっ。
僕は五味でいうところの酸味と苦味をこよなく愛しているので、酸っぱいものに目がないのだ。
そしてあの時と同じセビーチェの味を楽しみ、洗練された焼きそばを頂いた。
タジャリンサルタード(c)

リマ市内から空港へ向かい、夕陽を眺めながら飛び立つ。
ペルー北部で有名な町は、トゥルヒーヨとチクラヨ。トゥルヒーヨはペルーで3番目に大きく、チクラヨも70万人都市だという。このチクラヨこそが、今回の旅の舞台となるのだ。
ちなみに訪れるのは初めて。初体験の土地だ。
ペルーに着いてからというもの、本屋で英語のガイドブックのロンリープラネットかフットプリントを探していたが、バケーションのシーズンなのか見つける事ができなかった。
今回は、感じながら、ゆっくり旅しなさい、と言われているような気がした。
リマからの機内はほぼ満席。1時間も飛ぶと、眼下の風景が砂漠化してくる。左手に太平洋。礫砂漠の中にところどころ、家が建っているのが見えた。打ち寄せる波は、まるで織物のひだみたい。トゥルヒーヨの大きな町を越えると、最終着陸態勢に入り、大きく右に旋回する。
パステルカラーの空、バックには猿の惑星のような乾燥砂漠が広がり、家々はアドべ(土)作り、水を引いているところだけが緑一色だった。まるでモロッコみたい・・・。
チクラヨ上空(c)

空港は極めて、しけていた。
真っ白いバラックのような建物で、荷物をそうそうに受け取り、空港を出たところで、ホテルの値段交渉を開始。一番誠実そうなエジソンのところに決めた。エジソンの勧めで、明日の夜行バスのチケットをオフィスで購入し、ホテルへチェックイン。そのまま彼の好意で中央広場まで送ってもらった。
旅はいつも誰かに助けてもらうことで成り立っている。いや日常もそう。色々な人が絡み合い、手を差し伸べてくれ、初めて今、この瞬間があるのだ。
そして、今朝は中央市場やモデロ市場を見学し、カラフルな果物や、日本と全く同じ“するめ”などに目を奪われた。
するめ(c)

昼の13時ジャスト、エジソンが迎えに来てくれる。
「さぁ、行こう」
ペルー北部、それもチクラヨ周辺は、カブリートというヤギ肉が国民食になっている。ヤギはヤギでも仔山羊。この辺りで一番美味しいヤギ屋さん、それをエジソンから聞き、今日連れていってもらう約束をしていたのだ。
『カブリート(ヤギの意)』。
この言葉を聞くだけで、僕の唾はコンコンと泉のように湧き出て、涎が瀧のように流れ落ちる。
もう4年ほど前だったか。日本の若き料理人が、北部を旅してリマへ戻ってきた。その時に背中に担いで持ち帰ってものが、カブリートの生肉だった。
彼は岩塩とコショウだけで味付けし、あとは野菜とカブリートの肉から出るうま味だけで、スープを作ってくれた。ナイフなんかいらないほど、とろんとろんに柔い肉を噛みしめる。
「この肉って、なんか牛乳の味がしませんか?」
「だって、この仔山羊は生まれてからミルクとアルガロボ(野生の精力剤)しか食べてないですから」。料理人の言葉に、僕はまさにイベリコ豚を想像した。イベリコはどんぐりだけれど、ペルーのカブリートはミルクとアルガロボだけ。
あの優しくキメの細やかな味を、未だに忘れることが出来ない。
エジソンが言う。
「美味しいカブリートは、厳密に言うといチクラヨではなく、ランバジェーケにある」と力説する。理由は近くにヤギ飼いの村があるから。
砂漠の一本道を、エジソンの運転で北上する。北へ、北へ、11キロ。
「ランバジェーケには20のレストランがあります。でも本当に美味しいのは3店だけ」 何とも心強いことを言ってくれる。
「で、どこと何処なの?」
「1番目はP、2番目はR、3番目はCという店です。ちなみに魚と貝を食べるならCへ、ダックを食べるならRへ、そしてカブリートを食べるならPが一番です」 いやがおうにも、気分が盛り上がってくる。
車でものの15分ほどで、ランバジェーケへ到着。
そしてすぐPの看板を見つけた。看板の下に、Pと書かれたトロピックな看板。エジソンが店の人に美味しいカブリートを食べさせてあげて、と頼んでくれている。
「よっし、食うぞっ」
店内に入ると、竹で作った天井からファンがゆらゆらとまわり、所々に写真や土器が飾られていた。大好きなビール・ピルセンを飲みながら、セビーチェとカブリートを頼む。
出てきたセビーチェは昨日のプンタサルの方が美味しかったけれど、今日の主役はカブリート。
ブツ切りの仔山羊を、たっぷりのコリアンダーで煮込み、脇にはユカ芋(タピオカの原料)が添えてある。ようやく、この時が・・・・・。
カブリート(c)

食べてみると、さすが鮮度が違うのだろうか。ヤギによくある臭みは全く無く、肉もほろほろと柔らかい。沢山の香辛料が使われているから、後に様々な味の津波が押し寄せてくる。
うまい。文句はない。
でも・・・とも思う。あの料理人が作ってくれたミルクの味のするカブリートの方があと数段美味しかったのだ。今日から更に山奥へ入るが、5日後にはまたチクラヨに戻ってくる。
現地での聞き取りを強化して、ミルクの味のするカブリートを探さねば。
このカブリートの涙のちょちょ切れる美味さがあって、初めて“ペルー北部激ウマツアー”を募集できるのだから。
                                   ノムラテツヤ拝
食堂にて(c)
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テーマ:食べ物の写真 - ジャンル:写真

ペルー | コメント:2 | トラックバック:0 |
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コメント

ん~ なんど見ても唾ががでてくる。おいしいんだろうなあ。ミルク味のカブリートの報告も待っています。
2009-02-20 Fri 18:47 | URL | toko [ 編集 ]
はい、また5日後にチクラヨに戻りますので、気合いを入れて探しますね。見つかることを祈っていて下さい。
どうぞ宜しくお願い致します。
2009-02-21 Sat 12:42 | URL | Tetsuya nomura [ 編集 ]

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