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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

巨像ダビデ

メディチの最初の没落後、共和制政府が、ミケランジェロに巨大な大理石を使っての彫刻を依頼した。
1504年、ミケランジェロは見事に、ダビデ像を完成させた。
それまでは少年の姿で作られるのが常だったダビデを、筋肉隆々の全裸の若者に仕立て上げた。ミケランジェロの理想の人が、まさに出来あがったのだ。
高さ4m10cm。
これらを、最初は博物館内に収める予定だった政府は、像を設置するための専門委員会を招集。ボッティチェリ、フィリッピーノ、ペルジーノ、そしてダビンチも呼ばれ、政庁舎の横のロッジャにおさめられることに傾いていたが、ミケランジェロ自身が意見を求められ、自分のこの作品は屋外に置かれるのが望ましいと主張した。
結果、ダビデの巨像は政庁舎の前に南向きに置かれることになった。
南には、もう一度、権力の奪回を目指すメディチ家が虎視眈々としている。
それらをゴリアテと見立て、若きダビデが建てられたのだ。
当時の写真を、フィレンツェ市内で見つけ、感動してしまった。
だだっ広い石畳の広場に、ダビデが建つ。それは完璧な美だった。
本来のダビデの姿

現在は、残念ながら屋外にはレプリカ、本物はアカデミア美術館に置かれていた。
シーズンオフのアカデミアは観光客がまばらで、並ぶことなく入れた。シーズン中だと、2時間以上待たされることもザラらしい。
中に入って、まず三階に上がり、通路をゆくと、奴隷の像が大理石から生まれ出ようとしていた。
生まれ出るいのち

これらは、ユリウス2世の御墓に入れられる予定だった、ミケランジェロの作品だ。
その向こうにダビデ。
4m10cmの巨人は、手と足、頭が実際の比率よりも大きく作られ、主張していた。
匂いたつ肉体に、血管が浮き上がる。手には投石機の柄を持っている。
がっしりしたお尻に、魂の宿るハートの瞳。
一枚から切り出されたダビデを見て、僕は目を瞑った。
やっぱり・・・。
自分の体がエネルギーに巻き込まれていた。
正確に言うと、ダビデを中心に半径5mほどのエネルギーが右回りで渦巻いていた。
ダビデから放射されるエネルギーが、その中に入るもの全てを包み込む。
それらは強く、激しく、でも精緻だった。
ダビデからちょっと離れ、さっき見ていた奴隷像の前に行く。
そこには、ミケランジェロの仕事ぶりが、浮き出されていた。
ミケランジェロは、やっぱり絵ではなく、彫刻の人だと想う。
大理石の中に生命を見て、一気に削り、そいでゆく。
いのちを石の中から解放するのだ。
奴隷を見ていて、寒気がした。こうやってミケランジェロは石の中に生命を見ていたのか・・・・・。
もうひとつの奴隷像は、頭の部分が重いのか、手で必死に出ようとしている。
その向こうに完成したダビデ像が、凝視する。
囚人とダビデ

有名な話だけれど、ダビデの瞳は、ハート型だ。
好かれたければ自分が相手を好きになれば良い。人から愛されたければ、まず自分が相手を愛せば良い。ダビデの瞳はそんなことを言っているような気持ちにさせてくれた。
ハートの瞳

男性器は、半包茎だけれど、これらが町中では男性用パンツの柄として売られていた。パンツをはくと、自分のあそこがダビデになるという触れ込みで。
ダビデのあそこ

そして何よりも感動したのが、ダビデの背後に回ったときだった。
何て魅力的なお尻、そして手なんだろう。同性ながら、惚れてまうやろ~と突っ込みそうになった。
世界最高の彫刻が、フィレンツェにある。
やっぱり直に本物を見ることが、いかに大切なことなのかを痛感した。
                            ノムラテツヤ拝
ダビデのお尻
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テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

イタリア | コメント:2 | トラックバック:0 |
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コメント

ミケランジェロの彫刻は、世界随一ですね。
ボッティチェルリのビーナス達も、可愛い二人の天使も、ここで見せて頂けてうれしいです。
ブログを、毎日訪問させて頂いてます。
2010-01-05 Tue 16:30 | URL | なのはな [ 編集 ]
なのはな様へ
いつも見て頂いて有難うございます。
イタリアはさすがルネッサンスの国ですね。
その息吹きを感じる毎日です。
                ノムラテツヤ拝
2010-01-07 Thu 12:12 | URL | Tetsuya nomura [ 編集 ]

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