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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

ベストショット

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イースター島には、かれこれ20回ほど通い続けているが、初期に撮影したモアイ像の写真が、とても思い出深い。
フィルムのカメラを使い、何度も通った海辺のモアイ。今のように誰もが写真を撮る時代でなかったので、撮影はいつも僕一人だった。
良く晴れたある日、満月が昇ってから海へ落ちていくまでを、ずっと撮影していたことがある。20代の僕は、バイトをしてはお金を貯め、それらをすべて旅につぎ込んだ。帰国したら、またバイトをして、そのお金で現像するという日々を送っていたので、今と比べてシャッターを切ることにとても集中し、1シャッターがとても重かった。
「これは本当に撮るべきなのか?無駄にならないか?いつもそんな風に迷っていた」。
通常、月が沈む時は、海に水蒸気が上がり、見えなくなることが多いが、この夜は、最後まで四方八方に美しき光が降り注いだ。黄金色に浮かび上がるモアイ像の神々しさに、息を呑みながら、シャッターに手をかける。
露出計で光を測り、フィルムの感度は50なので、シャッタースピードは20秒。あとは無事に映り込んでくれ、と祈り続けるだけ。画角を変えて、撮影位置を変えて、1枚、また1枚と手を合わせた。
そんな光景をモアイは見ていてくれたのかな? 帰国後、現像されたスライドフィルムには、あの時の空気感までもが映り込んでいた。
「イースター島の写真の中で、ベストショットはどれですか?」
誰かにそう問われたら、僕はきっと20年以上前に撮らせてもらった、この2枚を挙げるだろう。
               ノムラテツヤ拝
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テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

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