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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

雷鳥

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「何カ国語、話せますか?」
講演会で、そんな質問をよく受ける。
「英語、スペイン語、ネパール語、ちょっとイタリア語とかポルトガル語、そしてウシ語とライチョウ語ですかね」と言うと大抵、キョトンとされる。
でも、これ本当なの。若い時分、僕はアラスカで長期間撮影していた。とにかく動物の近くにいたくて、ライチョウにもかなり張り付いてシャッターを押していた。ある時、オスのライチョウが啼くと、雌がピクンとオスを向く。もう一度啼くとまたピクンと振り返る。もしやと思って、僕も真似をしてみた。イメージは漬物やのオヤジのようなしゃがれた声で。次の瞬間、メスは僕の近くまでそろりそろりとやってきた。どんな動物でも愛を告げる言葉がある。それこそがライチョウの「アイラブユー」だった。
日本の北穂高岳の登っている時、遠くで雷鳥を見つけた。静かに近づき、啼いてみると、なんと雷鳥がヒョコヒョコと僕の方へ近づいてくるではないか。僕は心から感動した。アラスカのライチョウも、日本の雷鳥も、アイラブユーは同じ響き。つまり国が違えど、ライチョウたちの言語は同じ可能性が高いのだ。
もう一度、啼くと、もう僕の足元までやって来る。ゆっくり雷鳥は顔を持ち上げると、そこには僕の姿が。明らかに瞳を大きくして、バタバタと飛び去っていった。ごめんね、オスのイケメン・ライチョウじゃなくて。
              ノムラテツヤ拝
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テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

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