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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

絶景世界2

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絶景世界を行く-2
霧のカーテンがシルエットとなり、滝は黄金に染まってゆく。
世界最高落差(九七九m)を誇るエンジェルフォールズが遂に姿を現し、祈るような気持ちでシャッターを押した。
三分後、生き物のようにうねる霧は滝をまた飲み込み、自然の持つ静と動に圧倒されたのを覚えている。
もうベースキャンプへ戻らねばならぬ時間が迫っていた。急いでレンズをザックに詰め込み、滑るようにして下山する。ベースキャンプ近くまで降りてきた時、何か嫌な予感がした。
「ひょっとして?」、カメラザックを開け、レンズを確認してみる。予感は的中。広角レンズが一本見あたらない。何と大切なレンズをエンジェルフォールズ直下の岩場へ置き忘れてしまったらしい。
3日に一度だけやって来るボートの時間が迫っているというのに、僕は知らぬ間に引き返していた。
息を切らしながら登ること一時間、ようやく滝直下まで戻って来た。心臓の音が体の外から聞こえてくるような緊張感に襲われながら「果たしてレンズはあるだろうか?」と撮影した場所をくまなく歩き回った。
無い。無い。どれだけ探しても見つけることが出来ない。
「仕方ない、あきらめよう」
頭をゆっくり起こすと、迫り来る風景に全身鳥肌がたった。眼前には誇り高いエンジェルフォールズの眩しい飛沫、そして巨大な虹がまあるく架かっていたのだ。
まるで「これが私の真の姿よ」と滝が伝えているような・・・
僕はポケットからコンパクトカメラを出し、一枚だけその風景を撮影した。どうしてか分からないが、何枚も撮ることが出来なかった。
それからトボトボと一人でベースキャンプへ戻り、ザックの中を再確認すると、クッションの裏から広角レンズがこぼれるように出てきた。もしかして、エンジェルフォールズが「最高の美」と出逢わせてくれるために、レンズをザックの奥へ迷い込ませてくれたのか?
ボートが去った静かなベースキャンプで、僕は天使の滝を、ただひたすら見上げていた。
                 ノムラテツヤ拝
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テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

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