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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

絶景世界97

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今、北極にいます。
北緯78度、世界最北の町ロングイヤービーエンから乗船して、はや10日。極北の大自然に抱かれ、輝ける命を見つめた日々でした。
初めて見る世界から、色々なことを学ばせてもらいました。知っているようで、何も知らない世界。やはり自分の目で見てみないことには、本当のことは分からない。そして、心の中心が動かないものなのですね。
世界中から集まった魅力的なエクスペディションチームの面々、そして乗船している仲間たちと、刺激的なときを送っています。氷原の王「シロクマ」は世界で一番、高貴な生き物でした。
夕方、再びシロクマが現れた。甲板に出て、進行方向左側で狙うことに。まだ距離は3キロほどあるが、遠くからまっすぐ鼻を持ち上げながら、こちらへ向かってくる。ものの20分もしない内に、船の真下へ。
僕との距離はもう15mを切っていた。
「お前の夢は俺なのか?」。そんな声が胸に響いたような気がした。
この氷原の中で凛として生きているからこその美しさが全身から放たれる。10mまで迫った時、僕はカメラから顔を離して肉眼で観察した。つぶらで深い茶色の瞳が、こちらを真っすぐ見た。それは、どこかクジラやゾウと似通う、王者の瞳だった。
シロクマの雄は、大きい個体では600キロを超えるが、脚力は時速6キロに及び、9日間で687キロ進んだ記録もある。16万年前にグリズリー(ヒグマ)から進化し、頭を小さく、毛を長く白く、首を伸ばした。右前、左後、左前、右後の順に足をつき、頭をまるで舵のように振りながら、のっそのっそと歩くが、足音は殆ど聴こえない。この大きな肉球が衝撃を吸収しているのだ。
氷から氷へジャンプ。ファサっと雪が舞い、今度は氷山をわざわざ登ってくれる。見よ、この長い脚を。どれだけテレビで見ようとも、本を読もうとも、この目の前で繰り広げられる体験には敵わない。それを知っているからこそ、人はまた旅に出るのかもしれない。
ノムラテツヤ拝
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テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

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