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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

新世界写真194

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「テツヤ、お前、何かやってるのか?」
「何かって、ヤクとか?」
「違う、違う(笑)。2日連続こんな近くでケツァールに逢えるなんて、数年に一度あるかないかの珍しい事なんだ」。ガイドのオスカルが呆れたように言った。
そう、今日も早朝からケツァールを探しに森へ入ったが、最初の2時間はまったく見つけられなかった。でも遠くでさえずる声がしたので、追いかけてみると、樹上に雄と雌のケツァールの番が。雄には長い尾があり、メスには無い。色も雄の方が派手なのは、鳥共通だった。
風が吹くと、尾がひらり、ひらりと持ち上がり、波のような曲線を描く。その優美なこと。後方に踏ん張った瞬間、閃光のように飛び立った。その姿を狙うが、やはりフレームに入れるのが難しい。
「そんなに私の飛翔する姿を撮りたいの?」とつぶらな瞳は、僕を見下ろし、またスッと消えるように飛び立つ。そんな風にして、2時間は遊んでもらっただろうか?そろそろ帰る時間が迫っていた。
「オスカル、有難うね。コスタリカ、とても気に入ったからまた来るね」
「待ってるぞ。テツヤが来ると、ケツァールも不思議なほど近くに来てくれるからな。で、どんな魔法を使ったんだ?」
「何もしてないよ。ただ、ケツァールに愛してるよーってありったけの想いをぶつけただけ」。
神の鳥に頭を下げて、僕は車でコスタリカのサンホセ空港へ向かった。
               ノムラテツヤ拝
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テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

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