新世界写真2222022-05-28 Sat 14:01
![]() 「人生で本当にやりたいと想えることは、それほど多くない。もしそれに出逢ったなら、その夢を大切に育んでいって欲しい」 写真の師匠から言われた言葉。動物や自然などを撮影するワイルドライフ・フォトグラファーになることを決めた瞬間だった。 「自然」を撮影する。これは突き詰めていけば、自分の「心の内側」を観ること。例えば、山の上に氷河湖があるとする。どんなに晴れ渡っていても、無風の状態でも、心がザワザワしている人がやって来たら、不思議と湖面にさざ波が立ち始める。 信じられないなら、ぜひ試して欲しい。つまり自分の内面と自然界は一致しているのだと思う。だからこそ、昔から人間の内側にも宇宙があり、外側にもまた宇宙があるという叡智が生まれた。華厳経の「宝珠の網」などは一即多、多即一でまさにそこに尽きる。 難しい話はどうでもいい。すなわち、自然はいつも、その人にとって最善の風景を見せてくれるということ。雨が降って山が見えない。雲ってしまって海が青くない。これは天の計らいではない。今の自分の心の在り方が創作しているのだ。そこにこそ自身が最も学び取れるチャンスがある。 とんがり帽子のような山を夕方から登り始めた。麓には蒼き湖があり、湖畔に座って自分の心の状態を、自然という鏡で見せてもらう。ここに来られたことに感謝し、山々の神々の幸せを想う。そして呼吸を深くし回数を減らし、心を静かにしていく。頬の表面を風が走り、湖面はザワザワする。まだまだ想いを手放さないと。一つひとつ解いて、またそれらを感謝しながら俯瞰して解放していく。 やがて地球の、宇宙の存在、それらがただ在るということに嬉し涙が浮き上がってくる。そうなると僕という自我は薄れ、ただ目の前の「在る」風景の一部となる。次の瞬間、シャッターが無意識にきれた。それは僕の行為ではなく、自然が僕の代わりに押してくれている。湖面は鏡のように反射し、そこに今の自分が映っていた。 ノムラテツヤ拝 ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタン ![]() ![]() |
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