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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

新世界写真266

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「人生で本当にやりたいと想えることは、それほど多くない。もしそれに出逢ったなら、その夢を大切に育んでいって欲しい」
写真の師匠から言われた瞬間、ワイルドライフ・フォトグラファーになることを決めた。
「自然」を撮影する。これは突き詰めていけば、自分の「心の内側」を観ることに尽きる。
例えば、森の奥に大きな湖があるとする。どんなに晴れ渡っていても、無風の状態でも、心がザワザワしている人がやって来たら、不思議と湖面にさざ波が立ち始める。
まさか、と思われるなら、ぜひ試して欲しい。自分の内面と外面(自然界)は一致しているのだと思う。だからこそ、昔から人間の内側にも宇宙があり、外側にもまた宇宙があるという叡智が生まれた。華厳経の「宝珠の網」、一即多、多即一の思想だ。
難しい話はどうでもいい。すなわち、自然はいつも、その人にとって最良の風景を見せてくれるということ。雨が降って山が見えない。雲ってしまって海が鉛色。これは天のせいではない。今の自分の心の在り方が筆となり、眼前に描き出しているのだ。そこにこそ、自身が最も学び取れるチャンスがある。
「オンネトー」。北海道の阿寒の森に、原初の湖がある。今日も湖畔に座って、自分の心の状態を自然という鏡で見せてもらう。ここに来られたことに感謝し、阿寒岳、雌阿寒岳に住まう神々の幸せを想う。そして呼吸を深くして、回数を減らしていく。
やがて地球の、宇宙の、それらがそこに在ってくれることに、嬉しさが湧き上がってくる。そうなると僕という自我は薄れ、ただ目の前の「在る」風景の一部となる。
次の瞬間、シャッターが無意識にきれた。それは僕の行為ではなく、自然が僕の代わりに押してくれている。湖面は鏡のように反射し、そこに自分自身が映っていた。
           ノムラテツヤ拝
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テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

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