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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

代償

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知床後半隊を空港へ迎えに行く時だった。
「こっちへ来い」という声が全身に響き、僕はハンドルを野付半島へ向けた。
2021年の2月末日、僕はここで奇跡のエゾシカを撮影し、翌朝、自分で決めた代償を受けて大骨折した。
「自然界は代償を求めない」。あの後、師匠の言葉を聞いて、自分がいかに分かってなかったのか、表面しか感じていなかったのかを知った。
あの鹿と出逢った場所へ行きたい。気持ちはまるで噴水のように沸き上がり、野付半島の最奥へ。そこは冬の純白の雪原から、マウンテンゴールデンバナーの花園に変わっていた。
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僕はゆっくりと歩き、あの時の鹿の想いを体に沸き立たせた。そして膝を付いて、手を付いて、頭を下げた。
「あの出逢いが、間違いなく今の僕を作っています。決して奢ることなく、謙虚に、魂が向上するよう精進します。貴重な機会を有難うございました」
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ふと視線を感じ振り返ると、立派な雄のオジロワシが僕を見下ろしていた。
「自然界はいつもお前を見ているからな」
まるでそう言っているように嘴を動かし、飛び去っていった。
            ノムラテツヤ拝
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テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

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