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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

新世界写真322

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イースター島への渡航歴は21回。
現地に住んで、写真絵本「イースター島 ちいさくて大きな島(福音館書店)」と「イースター島を行く ~モアイの謎と未踏の聖地(中央公論新社)」を出版した。
島の隅々まで、ほぼ訪れていない場所は無いほど歩いた。でも、まだ撮れていない写真があった。2冊の本で頭を悩ませた、島の全景写真だ。陸から撮ったものでは小さすぎ、ドローンの写真も捕らえきれていなかった。
空撮出来ない理由は2つ。まず15年前から観光用のセスナやヘリなどが全面禁止され、軍が領空すべてを支配していること。そしてもう一つがチリ側のサンティアゴから飛んでくる場合、どうしても地味な島東部から回り込み、空港へ降りていく。そして訪れる半分以上は天候が悪く、良いコンディションで臨めないのだ。
でも、21回も通い続けると、神様がほほ笑んでくれることもある。島での観光がすべて終わり、飛行機へ。窓際に乗り、カメラの準備をした。
機体は滑走路を東から西へ飛び立ち、そのまま一路、タヒチへ飛ぶ予定だった。が、上がってから少しすると、左翼が少し傾き始める。
まさか、ほんとか? どんどん角度が付き、島の西側の斜面を旋回していく。一番見たかった派手なラノカウ火口越しのイースター島全景。昔の写真集とかでは見たことがあるが、最近のものでは皆無。それが今、眼前に。天候は晴れ。見事な光がクレーターに落ちていた。
震える。この20年の想いを一気に吐き出し、あの静かな頂きの世界へ自分を戻す。一枚、一枚、イースターは生き物のように表情を変え、僕を魅了する。そうか、島が撮らせてくれているんだ。それを感じた瞬間、ぶわっっと涙が浮かび上がった。ピントがずれる。マニュアルで再度合わせ、また一枚、もう一枚と無意識にシャッターが切れた。ようやく撮影させてもらえた。これが「本物のイースター島の貌」だ。
ノムラテツヤ拝
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テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

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